突然ですが、あらゆる企業の目的とは何でしょうか?
そうです、なるべく多くの人(法人含む)にサービスや商品を買ってもらうことです。
世の中は、人々にお金を使わせるための工夫で溢れております。それもそのはず、売り上げが立たなければ企業は潰れる運命にあり、労働生産人口の数だけ売り上げ(利益)が必要だからです。
身の回りを見渡してみると、商品やサービスの広告・宣伝にあふれていることに気づきます。テレビをつければ大きなボリュームでCMが頻繁に流れ、番組はスポンサー企業とタイアップして商品やサービスを宣伝し、外に出ればお店の看板やポスターが街中にあふれ、スマホのアプリを開けば頻繁に広告が表示されます。
その結果、一般大衆の価値観はなるべく多くのお金を使うように形成されております。
四季折々のイベント事や行事があるたびに散財し、成人して仕事を始めたら誰のためかもよくわからない保険に契約し、中古車はみっともないからと大した貯金があるわけでもないのに新車を購入し、家族が出来たら新築の一戸建てを建てるのが一人前の証だと教えられ、銀行のローンを使うことに慣らされ、ローンにお世話になりながら見栄のためにモノを買う。
この価値観は、大量生産大量消費を推し進めることで少しでも多くの利益を得たい民間企業のたゆまぬ宣伝活動により流布・教育されたものと言えます。
我々は、消費に関する価値観においてあまりにも無防備です。人々のお財布の中身は虎視眈々と沢山の企業群に常に狙われておりますが、その自覚がある人は殆どいないと言ってもいいでしょう。
このような社会的な背景の下では、収入が少ないために生活費がカツカツであるという場合を除けば、わざわざ節約生活を選択し、それを維持することは非常に困難です。それこそ、本ブログのテーマであるような株式投資の優位性を知り、お金の勉強をしないことには、余剰資産の潜在的な価値にも気づけませんし、結果として節約の意味も無味乾燥なものとなってしまいます。
そんな中でこの記事をお読みの方は、企業群の血のにじむような努力にも負けず、節約に価値を見出している人だと思いますので、以下の記事に記載したような節約の最重要事項である固定費の削減には既に取り組んでいることでしょう。
固定費削減の次は日々の消費活動の最適化となりますが、節約を意識するとなるべく安いものを買うという選択をしてしまいがちです。
以前はわたしもそうであったためよくわかりますが、株式投資と同様に長期的な視野を持てば必ずしも安物を買うことが最も安く済むとは限りません。
ということで前置きが長くなりましたが、消費活動の最適化に必須の視点である「リセールバリュー」と「耐用年数」について説明していきます。
消費活動の最適化の極意:リセールバリューと耐用年数
今回の記事の二つのトピックスはリセールバリューと耐用年数となります。
リセールバリューとは、買った商品を売る際の売値のことを指します。リセールバリューが高いとは、例えば1万円で買ったものが8千円ぐらいで売れる(最も良いのは1万円を超える)ということであり、リセールバリューが低いとは、1万円で買ったものの売値は100円になってしまったり、場合によっては粗大ゴミとして引き取ってもらうのに費用がかかるというものを指します。
一方で、耐用年数とは通常使用に耐える期間のことを指します。たとえリセールバリューが無いようなものであっても、この耐用年数が長ければ、長期的に見て支出は小さく収めることができますから、意外と大きな価値があります。
特に、日用品であってもモノによっては生涯使えるようなモノもありますから、そのようなものを優先的にそろえることにより、未来の生活をより低コストに営むことが可能です。
服について
そもそもなんでこのような記事を書こうかと思ったかというと、つい最近自分自身が大きな失敗(経験?)をしたからです。
先日、家を掃除して大量の不要物を断捨離したという記事を書きましたが、これに関連して妻の大量の服を処分することとなりました。
その分量たるや、45Lのゴミ袋六枚分です!!
ちなみに、妻は服を殆ど買わない人で、年に一度買うかどうかという人なのですが、妻の母親が服を買うことが趣味であり、ことある毎に妻のための服を買ってくれております。
しかし、本人が着たい服かどうかは別問題であり、また格安の服を貰うことが多いという状況でした(ありがたいことですが)。私と同様に妻も服を平気で10年ぐらい使う人なのでこれまで服を捨てるという経験は殆ど無かったのですが、この度大量の服を処分しようということになりました。
多くの服は殆ど着たことがないものですが、ノーブランドであるためとりあえず計り売りで買い取ってくれるお店に3袋を持っていくこととなりました。
さて、45リットルの袋一杯に詰められた3袋分の服の買い取り価格は幾らだったでしょうか?
結果は、103円でした・・・・・・・・・・・・・・
100点ほどの数がありましたから、恐らく服の購入代金は安くても十数万円だと思いますが、それが約100円で売れました!めでたしめでたし!!
ちなみに古着屋さんの買取条件としては、店内で商品として売れるものは1kg150円で買い取り、そうでないものは実質ゼロ円でした。
店内で売られている商品は概ね1000円ぐらいで販売されておりましたので、粗利は物凄く高いと考えられます。とはいえ、安物の服のリセールバリューは殆ど無いということが、今回の経験を通してとてもよくわかりました。(残りの3袋は状態の良いものをヤフオクやメルカリで気長に出品し、残りは雑巾や裁縫用の生地などにしようと思います)
ご存知の方も多いと思いますが、服というものは利益率が物凄く高いという特徴があります。つまり、原価が非常に安いということになります。
現に、世界の富裕層の長者番付に載っているのはアパレル系のブランドの社長が多いです。日本でもファーストリテイリングの柳井さんとかZOZOの前澤さんなどをイメージすれば合点がいくと思います。
安物の服はリセールバリューがほぼゼロなので、たとえ少し高くても質がよく、長く着れて、売値もそれなりに着くような服を買うのがいいのだろうなと痛感した次第です。
一方で、たとえリセールバリューが小さくても、耐用年数がべらぼうに長ければそのモノには十分に価値があります。衣服であれば、100均の靴下は1年も使えば穴が開いてしまいますが、アディダスやミズノのようなスポーツブランドの靴下であれば、一足300円ぐらいしますが長ければ10年も穴が開かずに持ちます(実体験)。
靴下や下着のように、リセールバリューは基本的にほとんどないものであっても、耐用年数が長いものにはそれ相応の価値があるということがわかります。
日用品の場合
以上の話は服だけに限った話ではなく、あらゆる購買活動に当てはまります。
私の場合は、リセールバリューが見込めないものであれば、構造的に耐用年数が長くてなるべく長期間使えるものを買うようにしております。
例えば、食器や調理器具、ハンガーラックなどの日用品は、少し高価でもステンレス製のものを買うようにしています。ステンレスは目に見える劣化が基本的には起こらないため、極端な話、一生涯に渡る使用に耐えうるからです。
金属製のモノを買うことにより、日用品が消耗品ではなくなり、半永久的に使える資産となります。一方でプラスチックやシリコン製の商品はお手頃価格ですが、数年使うと劣化します。ガラスや陶器も見た目は良いですが、割れ物であるためいつかは壊れてしまいます。
他には、電化製品や道具類においても、なるべく作動原理が単純なものを買うことで、壊れても自分で修理・メンテナンスを行いながら長く使い続けることができます。
一度買えばずっと使えるモノというのは、たとえリセールバリューが無くても「財産」となるのです。
車の場合
お高いモノの代表格として車についてですが、車のエンジンはオイル交換を定期的に行えば20万キロの走行にも耐えるものです。
リセールバリューの高い古車や高級車を買って、数年後に購入価格と同等の値段で売ることを繰り返すのも一つの手でしょう。
しかし、車はどうしてもパーツが壊れるものであり、特に海外製の車だと修理費(パーツ代)がべらぼうに高いです。高級車であればより一層高くつくでしょう。
車好きな方にとってはそれでも満足度が高いため問題無いでしょうが、車にこだわりがない人にとってお勧めなのは、5年程度経過した国産の大衆車を中古で購入し、車の寿命までそれを使い続けることです。
リセールバリューは無いに等しいですが、逆に言えば格安で手に入りますし、パーツも沢山流通しているので修理費用も安く収まります(車は鉄の塊ですから、何年経過しても鉄くずとして1万円程度の価値はあります)。
中古車の選定について詳しくは以下の記事に書きましたので、併せてご確認ください。
また、自動車保険については一括見積により複数業者から相見積もりを取ることで、同等内容の保険であってもずっと安く契約できますので、やったことの無い方は保険会社の見直しをおすすめします。
保険の見直しについては以下の記事に詳細を書きましたが、きっとチューリッヒ自動車保険が最安値になると思います。
さらに、安く購入した中古車であれば、車両保険を外すことにより、より格安に自動車保険を組むことができます。現に私は車両保険を外すことにより、年間自動車保険料が35000円から24000円に激減しました。車両に価値が無いので、車両保険に入っても仕方がないということですね。
確率的には非常に小さいですが、不運にも大きな事故を起こしてしまった場合には、諦めて十数万円の中古車を買いなおす必要があるというリスクがあります。
とはいえ、事故を起こさなければよいだけなので、安全運転をしていれば期待値はプラスとなるでしょう。(煽り運転とかは犯罪的な行為ですよね。絶対にやめましょう。)
ちなみに、私は仕事で車が必要なのですがなるべくローコストに抑えたいため、以下のような運用としております。
これでも年間5万円程度は維持費がかかってしまいますが、エンジンが悲鳴を上げるまではこのままいこうと思っております。
そもそも自動車の目的とは人を目的地に運ぶことに尽きますから、その目的を達成することができるのであれば少し古かろうが見た目がパッとしなかろうが内装がシンプルであろうが個人的には問題ないわけです。
まとめ
固定費削減を実施した先にある、日常的な購買活動における「リセールバリュー」と「耐用年数」に意識を置くことの重要性について説明しました。
高級車やアップル製品などのようなリセールバリューの高いものを買い、値が高く付くうちに売却して他のモノに乗り換えるという戦略を取ることで、ランニングコストを大きく圧縮することが可能です。
一方で、売値が付かないような日用品であっても、ステンレス製のモノを選ぶなどして一生涯使い続けることが可能なアイテムを揃えることで、ランニングコストが事実上ゼロとなり、将来の支出を大きく抑えることが可能です。
耐用年数の長い製品は資産と言えます。
安物買いの銭失いという言葉がありますが、この言葉には(企業群のプロパガンダが含まれてはおりますが)一理あります。短期間で壊れるものを買うぐらいであれば、倍のお金を出してでも一生使えるモノを買うことが長期的に見て経済合理的な選択であるということですね。
節約は奥が深い物であり、真の節約家達は尊敬に値するほどに支出を切り詰めておりますが、それ相応の試行錯誤と知識の蓄積と努力・苦労があるかと思います(Twitter上で個人的に交流のある隠居芸人さんやのり弁リーマンさんは本当に尊敬の域です)。
とはいえ、固定費削減と今回の記事で紹介したリセールバリューと耐用年数を念頭に置いた買物をすることにより、彼らのようなアートなレベルまでの支出の削減(生活費月5万円以下とか!!)はできずとも、世間一般の半分以下の生活費で暮らすぐらいのことは十分可能になるでしょう。
更に、ガタが来たモノの修理やメンテナンスなどを自分で行うことが出来るようになれば、より一層の出費の削減が見込めます。他人に何かをお願いする際に最も高いのは人件費ですからね。
究極的には、それなりの数の人たちが出来ることであれば自分に出来ないことなど無いという認識は間違っていないでしょう。時間と労力をかければ大抵のことは自分でできるものです。
生活満足度が下がらないような無理の無い範囲で節約を行い、余剰資金を投資に充てることで、資産規模を長期的には指数関数的に膨らませ、経済的自由を勝ち取り、自分が生きたい人生を生きていきたいものですね。
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