住宅ローン計画の考え方と借入先選定方法(理系の錬金術師の場合)

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突如始めた住宅取得編ですが、今回は住宅ローンの計画をどのように立て、どうやって借入先を選定したか紹介します。

特に、私が土地を買い注文住宅を建てる際に、こんな情報がまとまっていたらと思ったところを重点的に整理しました。

住宅ローンの支払いを無理なくこなす計画策定

住宅ローンを組む、すなわち物件の予算を策定するにあたり、どの程度なら無理なく返済していけるかを明確にする必要があります。

借入額の考え方

借入額を考えるにあたり、まず自分がどの程度借りられるか試算してみましょう。大体の銀行でシミュレータが用意されており、自分の年収でいくらまで借りられそうか、ざっくりわかります。

その額を最大額として、家庭の収支を洗い出し、無理のない返済計画を考えてみましょう。
まず、以下がわかる資料・データを用意します。

  1. 直近かつ平均的な給与明細(手取り額)
    安定していくらくらいというのがわかるものが必要です。たまたま残業が多くて給料が多かった月等は考慮しない方が良いでしょう。
  2. 直近半年程度の家庭内支出額の月平均(カード明細、幼稚園や習い事関係の領収書等)
    支出額は出ていくお金の合計だけカウントします。例えば、カード払いで投資信託をしている場合、支出ではありません。(場合によっては、投資額を下げる必要はあるでしょうけど)
  3. 毎月ではないが定期的に発生する固定費がわかるもの(自動車税、車検、自動車保険等)
    年1回等、定期的に必ず発生するお金については、足し合わせた上で12等分して考慮します。車検といった不確定なものは、なるべく多めに考慮すると良いでしょう。
  4. 給与以外の収入(児童手当等)
    給与以外の収入要素として、児童手当等でいくらもらえるか明確にしておきます。
    ボーナスの最低額がある程度決まっているなら、月換算にし、ここに入れても良いでしょう。

あとはこれらの情報を単純に足し引きして毎月の余裕を求めます。計算式は、

[1.手取り給与] + [4.手当等] – [2.支出] – [3.定期支出] / 12 = [毎月の現金余裕]

となります。この毎月の現金余裕から、どこまで住宅ローンに充てるかを考えます。

ある程度保守的な見積りになると思いますが、それでもギリギリにするのはよろしくないでしょう。
ローンを支払いつつも、資産を増大させていくのが理想ですから、月5万でも10万でも良いので、●年で新NISA枠を埋めるといった投資計画も併せて考慮すべきです

こういったことを考えつつ、毎月払える額を算出してローン計画を立てましょう。

また、自分はもちろん、家族の急な病気で一時的に支出が増える可能性もあります。これについては生活防衛金をしっかり備えておくことが重要です。生活防衛金の考え方は以下記事を参照ください。ちなみに、私は生活防衛金を保守性大で確保した上で、余力はフルインベストしています。このため、以降の記載もこのことを前提にしている説明があります。

頭金について

あくまで私見になりますが、頭金は可能な限り0円にするのが良いと思います(フルローン)。理由は簡単で、手持ちの現金を減らすくらいなら、投資した方が良いためです。理由は今更言うまでもないですが、未読の方は以下記事等参照ください。住宅ローンの利子分が安くなる効果より、投資リターンの方が大きくなる可能性が高いと言えます。

ボーナス払いについて

ボーナス払い(年2回の支払額増額)については、安定したボーナスが無いなら考えるべきではありませんが、そうでない場合は趣味の問題だと思います。

毎月の投資額を増やして、ボーナス時に一気に投資するか、その逆かです。

毎月5万円投資するのと、半年に1回30万円投資することのどちらが優位かというと、毎月投資の方が統計上は成績が良いですが、その差は誤差の範囲内であり、実態としては運次第といっても差し支えないでしょう。一方で、ボーナス支払いを重くすると、その分元本の減りが遅くなるため、若干利子が増える結果になります。

このため、利子をなるべく減らすか、毎月の支払を減らすか選択することになります。

なお、私は自動積立額を維持したかったのでボーナスを若干多めに設定しましたが、勿論ボーナスが無ければ返済できなくなるような計画にはしていません。

住宅ローン比較時に注意すべきこと

住宅ローンの比較では、当然のことながら、まずは金利を見ますよね。建売りや中古住宅を購入する場合は、金利と団信の内容くらいで良いかもしれませんが、土地+注文住宅の場合は他にも見るべきポイントがいくつかありますので、これを紹介します。

つなぎ融資と分割融資、土地先行融資

住宅ローンは原則として完成した物件(建物+土地)に対する融資です。したがい、注文住宅の場合、土地に係る費用、建物完成前に係る費用(契約金、着工金、中間金等)は、物件が完成するまでの間、別の手段で用意する必要があります。土地は立地によっては建物を大きく超える程高額(私もそうでした)だったり、着工金・中間金も合計で建物の半額以上になる等、現金で出すのは難しい額だと思います。

そこで、一般的には、「つなぎ融資」を受け、土地や着工金等、住宅ローンが決済されるまでの間を繋ぐ融資を受けることが多いです(住宅ローン決済時につなぎ融資分を返済)。しかし、つなぎ融資は金利が概ね2%~4%かかりますので、例えば3000万円を1年借りれば、60万円~120万円の利子がかかります。そして、これはあくまでつなぎ融資の金利であるため、住宅ローンの額は減らず、掛け捨てになりますので、なるべく使いたくないところですね。

つなぎ融資を使わない方法として、「分割融資」や「土地先行融資」に対応している銀行の住宅ローンを使用することが挙げられます。

分割融資や土地先行融資はその名のとおり、融資を何回かに分けて行ってくれたり、土地の費用を先に融資してくれる住宅ローンです。あくまで住宅ローンを分割・先行するものなので、つなぎ融資と違い、土地決済の時点から低金利な住宅ローンの返済(建物決済までは利息分のみ支払い)が始まるだけであり、無駄にはなりません。

このため、なるべくつなぎ融資は使用せず、分割融資や土地先行融資を利用するのが良いでしょう。

ただし、つなぎ融資にデメリットしかないわけではなく、抵当権設定の回数が少なかったり、分割よりも手続きに係る費用が抑えられ、総支払額について、住宅ローン金利次第では「つなぎ融資」を利用して「分割に対応していない最安ネット銀行」を利用するパターンの方が安くなるケースもあると思います。分割できても住宅ローンの金利が高いとあまり意味は無いので、住宅ローン金利安く、分割できるところを選び、よく吟味する必要があります。

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分割融資・土地先行融資の注意点

分割融資・土地先行融資で注意すべきところは、その回数と融資可能なタイミングです。融資回数が2回であれば、一般的に土地決済時と建物完成時になると思います。この場合だと、結局着工金や中間金で大金が必要となり、そこでつなぎ融資を利用することになります。この場合でも、土地からすべてつなぎ融資を受けるよりは利息を抑えられますが、無駄金感は否めません。

融資回数が4回以上か、着工・中間金タイミングでも借り入れられるか、予め銀行に問合せておくと安心です。

なお、私が知っている情報では、勝手に出して良いかグレーなので固有名は伏せますが、6回まで分割可能な某メガバンクや、公表している分割回数が2回まででも、提携ハウスメーカーからの申し込みであれば「着工」のタイミングで建物に係る金額を全額融資可能な銀行が複数ありました。これらは、公式ページには書いておらず、直接問い合わせないと教えてくれない内容でしたので、「金利等の条件が良いのに、分割回数が・・・」とネット情報だけで諦めないようにしましょう。

資金枠の確認

なるべくフルローンを狙う上で、重要なのが資金枠です。事前審査段階では合計額いくらといった審査が多いと思いますが、最終的な融資は、何にいくら使うかを問われます。

例えば土地と建物は全額ローン組めるけど、外構費や諸手続きはいくらまでですと決まっているパターンがあります。私が比較したローンにおいて、諸費用の合計は300~600万だったり、建物の5~15%だったりでした。

数字上同じ条件であっても、銀行により「建物」の定義が異なり、外構費を含めて良かったり、外構費は諸費用扱いだったりしますので、銀行に問い合わせておくがベターです。

高額なローンを組めても、想定外に諸費用の限界を超えてしまい、現金払いせざるを得ない額が大きくなったら残念ですよね。

団信の考え方

団信(団体信用生命保険)は、住宅ローンを借り入れる際、基本的に加入するもので、契約者が死亡した際にローン残高が0円になる保険です。団信の内容は銀行によって様々で、がんを含む3大疾病に罹患した場合、追加金利無しでもローン残高が半分になったり、金利を上乗せ(大体0.1%~0.3%)することで、ローン残高が0円になる(がん団信)ものもあります。生活習慣病や入院に対する補償もついていたりします。

このあたりは元の金利だったり、自分の将来的な不安と相談になりますので、金利上乗せでがん団信に入るべきかどうかは一概に言えません。ただ、単純に金額で言えば、生命保険よりだいぶお得でしょう(計算はしてませんけど・・・)。

そして、私はと言いますと、がん団信には加入しませんでした。追加金利無しで、罹患した場合は50%オフの団信です。何故そうしたか、以下に記載します。

がん団信と罹患率

私はがん団信に加入しませんでしたが、もしがんと診断されれば、「がん団信に入っておくべきだった!損した!」と思うことでしょう。ここは、こういう人もいるんだ、程度に思っていただければ良いと思います。

私が検討していたがん団信は、「金利+0.2%することで、がん、脳卒中、心筋梗塞と診断された場合、住宅ローン残高が0円になります」というものでした。ローンは大体8000万円ですから、若いうちにがんになったら、とんでもない効果を得られる徳政令カードになります。

ここで、8000万円を金利0.5%で35年借りた場合の総返済額は87,220,482円です。一方で、ここに金利を0.2%足した場合、90,222,785円となります。大体300万円の徳政令カードですが、私は以下の理由で、このカードは買わないことにしました。

自分が現在40歳と仮定し、先10年間のがんや、脳卒中、心筋梗塞の発症リスクを調べてみると、保守的にみても1%未満であることがわかりました。60歳以降の10年でも、体型を維持できれば2%未満でした。使用したツールは、ググったら出てくる種々の病院や人間ドックのサイトだったり、計算サイトです。

スタートラインとして、至近に受けた人間ドックでも特段問題ありませんでした。

親族10人くらいをみてみると、80歳までのがんの罹患率は20%程度で、うち殆ど65歳以降に発症しています。脳卒中、心筋梗塞になった親族は、私が知る限りいません。

仮に65歳でがんになるとした場合、金利上昇を保守的にみても、ローンは3000万円も残っていないため、50%引きで1500万円になれば、退職金でお釣りがくるレベルでしょう。当然、積立投資は継続していますので、それ以外に十分な資産があるはずです。

運悪く40台前半でがんにかかっても、ローンが半額になれば、資産がローンの金額を上回り、会社をやめていなければ色々補助があったりするので、何とかなる想定です。仮に死亡まで行けば、ローンは0円になりますし、資産が残るので家族は(家計的には)全く困らないはずです。収入は完全に途絶えるけど生き永らえる、というのが一番家計的に厳しいという悲しい現実ではありますね。

このようなことを総合的に勘案し、がん団信は無しで良いだろうと判断しました。

仮に私と同じ条件でも、危険だと思う人もいるかもしれませんし、それを否定する理由もありませんので、団信は自分が納得行くものを選びましょう。

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変動金利と固定金利

変動か固定か。これも団信と似たようなものかもしれません。安定かつ計画しやすいのは勿論固定です。ただ、今は変動が0.4%前後、固定が1.8%前後ですので、単純に(というか理想的に)考えれば、支払い総額2000万円以上の差が出ます。

少なくとも2024年5月現在は、今後の金利上昇が高確率で見込まれるような状況なので、固定にすべきじゃないかと思う方が多い気もします。

私はといいますと、変動金利0.35%程度のものを選びました。
理由は当然ですが、いろいろ考えた結果、「安く済む可能性が高い」と判断したためです。

シミュレーションは、まとめる気力が出たときに公開しようと思っていますが、基本的には、35年もあれば何度も金利上昇の恐怖と歓喜の下落の局面が訪れることでしょう、というサイクルをある程度保守的に考慮することを前提にしています。

ネットにある情報だけでも、自分の性格を踏まえて変動と固定のどちらを選択するかの判断材料は足りると思います。ただ、やたら不安を煽るような記事や動画で参考になるようなものはあまりないと思います。

元利均等と元金均等

元利均等or元金均等という選択肢を申し込み書で初めて見て、迷う人もいるかもしれません。ざっくり言えば、元利均等は月々の支払を一定かつ元金均等より安くする代わりに、少し総額が高くなるもの、元金均等は元金を毎月一定額返済し、そこに利息を足すもので、月々支払は最初が一番高く、その後徐々に下がっていき、総額は元利均等より少し安くなるものです。

何故そうなるかと言えば、元金均等は元金の減りが早くなるので、その分、利子の支払いが少なくなるためです。

これについては、投資する人なら元利均等を選択すべきだと思います。

例えば、5000万円を0.5%の金利で借り入れるとすると、元利均等の場合、総額54,512,740円、月々の返済額は129,792円、元金均等の場合、総額54,385,229円、月々の返済額は139,880円となります(ボーナス返済無し)。

総額の差は12万8千円程度です。仮に金利2%だとしても150万円程度の差にしかなりません。

そして、月々の返済額は1万円も違います。月1万円浮いた分を30年間投資すると、利回り1%(かなり保守的です)としても420万円くらいになります。何故30年間かというと、金融庁のシミュレータの最大年数だったためです(手抜きですみません)。

仮に金利2%だとしても、差額は150万円程度ですから、如何に投資の効果が大きいかわかりますね。なお、金利が高い想定だと月々の返済額の差も大きくなりますので、より大きな投資効果が得られます。

以上より、元利均等を選ぶべきと言えるかと思います。ちなみに、どうしても元金を減らしたい局面になったとしたら、繰り上げ返済すれば同じです。

住宅ローンの銀行選定

これまでの内容を基に、どのように銀行を選定するのが良いかまとめます。
一括比較サイトを使うのも良いでしょう。

  • 金利
  • 団信の内容
  • 融資の分割ルール(注文住宅の場合)
  • 建物費用の定義(注文住宅の場合)

注文住宅の場合、ハウスメーカーにどのような提携銀行があるのか尋ねてみると良いでしょう。

【理系の錬金術式 住宅購入編】

  1. 理系の錬金術的持ち家取得計画
  2. 分譲住宅と注文住宅の選択方法と耐震等級等の住宅性能について(理系の錬金術師の場合)
  3. 住宅ローン計画の考え方と借入先選定方法(理系の錬金術師の場合)
  4. 土地探しで考えたことと契約について【理系の錬金術式 土地調査手法】
★理系の錬金術師おすすめの証券口座
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