株式投資において、キャピタルゲイン(値上がり幅)とインカムゲイン(配当金や分配金というキャッシュフロー)のどちらを求めるのが良いのかについて、思いを悩ます投資家の方は多いと思います。
実際好みの問題とも言える命題であり、永遠のテーマかもしれません。
歴史的な事実としては、経済合理性で言えば経費の安さや課税額の少なさという観点から「キャピタルゲイン投資」に軍配が上がります。
しかし、乱高下の激しい株式投資の世界ではキャピタルゲインを追い求め続けるのは至難の業ともいえ、暴落時に道半ばで損切りして市場から退場した人も少なくないようです。
一方で、インカムゲイン投資は、不景気で相場が下がっても配当金が減配されることは外国株式では少ないため、下落相場でも精神が安定しやすく継続が容易であるという強力なメリットがあります。
そこで、合理性を求めるわたくし理系の錬金術師は、このどちらのメリットも享受できるハイブリッドセオリー投資法と題して、キャピタルゲイン投資でインカムゲインを指標とする手法を提案します!
キャピタルゲイン投資の合理性
それでは、まずはキャピタルゲイン投資の合理性について確認していきましょう。
キャピタルゲイン投資のメリットをまとめると、以下のようになります。
現に、米国株式市場の大部分をまるっと投資するキャピタルゲインメインのVOO(S&P500 ETF)と、米国株式市場の高配当銘柄を多数集めたETFであるVYMとのパフォーマンスを比較すると、上にまとめた通りの結果となってます。
つまり、経済合理性を追及すると、キャピタルゲイン投資が優勢となるのです。
詳しくは以下の記事をご確認ください。
インカムゲイン投資のメリット
次に、インカムゲイン投資のメリットを確認していきます。
インカムゲイン投資の最大のメリット、それは配当金(インカムゲイン)という名の定常キャッシュフロー以外の何物でもありません。
株やインデックスの所有枚数を減らすことなく、配当金や分配金が定期的かつ自動的に運ばれてくるという仕組みは、まさに不労所得そのものです。
米国の優良株式であれば50年にわたって増配している企業も沢山あり、リーマンショック時にも減配しなかったという実績を持つ企業が多いため、基本的に買えば買うほど配当金は増えていきますし、企業の経営が傾いたり倒産しない限り永続的に振り込まれ続けます。
米国優良企業では暴落時でも減配のリスクは低いため、下落相場にてキャピタルゲイン投資家が評価額激減により狼狽売りをしてしまう中で、インカムゲイン投資家は逆に潤沢な配当金により暴落銘柄を買い増すチャンスとばかりにほくそ笑むことができるのです。
(簡単に減配する日本株はその限りではありません。あくまで米国株に限った話です。)
このメリットは、市場に居続けることが最重要である株式投資家にとっては何よりも心強い利点となります。
ハイブリッドセオリー投資法とは?
経済合理性を考えればキャピタルゲイン投資を行うべきですが、心理面の安定を考えるとインカムゲイン投資が圧倒的に良いという、それぞれの手法のメリットを示しました。
どちらにも一長一短がありますが、結論としてはキャピタルゲイン投資を行いながら暴落時にも影響されない指標に着目することで、精神面の安定を得て長期投資勤しむということが最適解と考えます。
そこで、両者の利点を取り入れたハイブリッドセオリー投資法(Hybrid Theory Investment)を提案します。
案①:リアルインカムゲイン法
こちらの手法は、現実主義者である方におすすめです。
そのやり方とはズバリ、投資先のインカムゲインに注目するという単純な手法です。
例えば、キャピタルゲイン投資であるS&P500への投資でも、インカムゲインは得られます。
S&P500ETFであるVOOの場合、2018年の実績では約2%の分配金が得られております。その他の年も、概ね1.5%から2%の範囲で最近は推移してます。
実際のVOO一口当たりの分配金は、以下のように近年では大幅に増配し続けております。
高配当銘柄を狙うインカムゲイン投資法でなくても、この配当金(分配金)に注目することには同等の価値があります。
インカムゲイン投資法と比べると配当金は1/2程度かそれ以下となりますが、それでも買えば買うほどインカムゲインの値は基本的に増加していきますし、暴落時にも安定したキャッシュフローを生み出します。
積立続ければそれ相応の額に膨らみますので、評価額が暴落したときこそこのインカムゲインに注目することで、一定レベルの精神安定効果が得られ、狼狽売りを回避することができるでしょう。
案②:バーチャルインカムゲイン法
本手法は、想像力が豊かで小説や映画などのバーチャルな世界に没頭できるタイプの方にお勧めです。ロマンチストや夢想家、楽天家の方にも向いているでしょう。
その手法はずばり、現在の投資評価額分をもしもVYMなどの高配当インデックスで全額所有していたら分配金はいくらになると計算して、それを指標として利用する(思い込む)ことです!
つまり、現在の投資総額にVYMの現在の利回りを掛け合わせた値を指標として、インカムゲインが右肩上がりする様子を確認する手法です。
これぞ究極のハイブリッドセオリー投資法ですが、実践するには一定レベルの想像力と自己暗示力、自己洗脳力が必要となります。
この手法を徹底できた暁には、キャピタルゲイン投資の最大利回りを長期で達成しながらインカムゲイン投資の精神安定性と継続力も身に着けられるため、暴落時に安眠できる無敵のキャピタルゲイン投資家となれるでしょう。
究極投資体の完成です。鬼(キャピタル)に金棒(インカム)ですね!
まとめ
所詮、金本位制の廃止された1972年以降の貨幣経済など、貨幣に価値があるとみんなが思い込んでいることで成り立っているイマジネーションの副産物に端を発した世界です。
通貨は政府が認めているというだけの信頼に担保されているだけであり、政府発行通貨も仮想通貨も本質的には変わりません。
このような貨幣(仮想)経済に立脚する投資活動も例外ではないため、想像力(バーチャル)を駆使するハイブリッドセオリー投資法にも一理あると考えます。
本手法を会得することで、経済合理性と精神安定性を手に入れて、まるでロボットのように合理的かつ機械的に金融資産を増幅させていきましょう!
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