投資と一口に言っても、株や債券、ゴールドなど様々な種類がありますが、各資産クラスの市場規模(時価総額)についてご存知でしょうか?
各資産クラスの市場規模を知ることで、それぞれのアセットクラスの危機や崩壊によるリスクが見えてきます。これにより、世界経済が抱えている債券市場の返済問題や、今後控えているかもしれないといわれるドイツ銀行を発端としたデリバティブ(金融派生商品)バブル崩壊の潜在的リスクも把握できます。
また、おまけとして新進気鋭の資産クラス「ビットコイン(暗号資産)」の将来的な可能性もご紹介します。
各資産クラスの市場規模(時価総額)
以下に2019年7月現在の調査結果を示します。
資産クラスによっては数年前の古い情報しか得られなかったものもあるので、大体このぐらいというざっくりとした規模感で捉えてください。
さて、上のデータを見てあなたは何を思ったでしょうか?
色々な感想があると思いますが、私の感想を以下に列記します。
グローバルマネーサプライに対する債務残高の問題
全世界の債務残高は、グローバルマネーサプライの3倍以上であり、これは全世界のGDPの3倍以上でもあります。
つまり、世界中の国や企業が抱える(発行する)借金(債券)の総額が、世界中に流通しているお金の3倍以上であり、全世界が作り出す製品やサービスの総額であるGDPの3倍であるということです。
また、借金には当然利子がありますので膨らみ続ける一方です。この借金を国や企業はどうやって返していくつもりなのでしょうか・・・
一つの解決手法としては、大量にお金を発行して異次元金融緩和からのハイp(略)
ドイツ銀行の経営危機に伴うデリバティブ市場崩壊リスク
リーマンショックはサブプライムローンバブルが弾けたことから端を発したものですが、その時のリーマンショックの負債総額は約6000億ドル(約64兆円)であり、米国史上最高額の負債を持つ破産となりました。
一方、つい先日も18000人をリストラすると宣言した経営危機にあるドイツ銀行が抱えるデリバティブは48兆ドルとも言われ、10年間もの長期に渡って株価は下落し続けております。
デリバティブには非常に複雑な金融商品が多数あり、それらを多数所有するドイツ銀行ではその頭首ですら保有する資産規模を正確に把握できていないとも言われております。
A社がB社を支えるCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)というデリバティブを所有し、B社がC社を支えるCDSを所有し、C社がA社を支えるCDSを所有…
というように、どこかが破綻したら連鎖反応が起こるような構造となっていることが、このCDSを中心としたデリバティブ問題の本質的リスクと言われます。
全世界の株式市場(47兆ドル)と同等のデリバティブを抱えたドイツ銀行が倒産したら、世の中がドンデモないことになるのは火を見るよりも明らかですね。
また、最近ではドイツ銀行に対するマネーロンダリングの疑義もあり、FRBからの調査を受けております。
Too big to failとなるか、はたまたリーマン・ブラザーズと同じ轍を踏んで資本主義崩壊の引き金を引くか、私にとっては最大の関心事の一つです。(リーマンショックよりも桁違いに大きい破壊力だと予想されるため)
ビットコインの可能性
つい先日、FRB議長のパウエル氏がビットコインに対する以下のような歴史的な発言をしました。
「実際には、ほぼ誰もビットコインで支払っていない。それよりも、金の代替品として使われることが多い。これは価値保蔵手段、金のような投機的な価値保蔵手段だ」
金のような投機的な価値保存手段。つまり、FRB議長がビットコインを「金の代替となり得る価値保存手段」と認識しているということです。
それに対してだと思われますが、米国大統領のトランプ氏はTwitterで以下のような発言をしております。
端的に言うと「私はビットコインを認めていないし犯罪の温床である無価値なガラクタだと考える。世界最強通貨は米ドルだ!USA‼USA!!!!」
数年前までは全く相手にされることはなく嘲笑の的であったビットコインが、覇権国家である米国の首脳陣の話題にまで上がっていることは驚愕であり、まさに歴史的事件です。
特に、(世界を牛耳るユダヤ系民間銀行が株主であると言われる)FRBの議長がBTCの価値を認めるような発言をした、という事実の意味をよく考えてみるべきだと思います。
さて、そんなビットコインですが、現在は2000億ドル程度の時価総額です。
これは、ビットコインが代替品となりうると言われるゴールドの時価総額約8.5兆ドルと比べると、40分の1以下ですね。つまり、もしもゴールドと同等の時価総額になることがあれば、ビットコインの価格は40倍以上、5000万円ほどになるということです。
ビットコインは生まれてこの方10年以上に渡って止まらずにワークし続けてきたし、一度もハック(改ざん)されたことはありません。このことが、価値の保管先としての価値があると認められ始めた理由でしょう。
つい先日もビットポイントがハッキングされましたが、これはビットコインの脆弱性とは無関係な取引所のずさんなセキュリティ体制・技術力の問題です。
このような流出事件が相次ぐことでビットコインの安全性は世間から曲解されておりますが、やがて多くの人がその盤石なセキュリティの価値に気づく時がくるでしょう。
なお、ビットコインが「価値の保存先」でしかないというのは、現段階のテクノロジーがまだそのレベルにあるだけだということです。
ビットコインは、やがて少額決済の手段としても機能することを念頭に置かれて10年前から技術開発が進められております。具体的には、ライトニングネットワークという、ビットコインのブロックチェーンとは一つ上の階層(セカンドレイヤー)で一括で複数人の金銭のやりとりを整理・清算し、その多数のやり取りの最終結果のみをビットコインのブロックチェーンに記帳するという技術です。
なぜこんなことをするのかというと、ビットコインは10分に一回しかブロックチェーンへのブロックの追加(記帳)を行わないからです。つまり、記帳できる情報量は限られるため、多数の決済を扱うにはどうしても時間がかかるし、手数料も大きくなってしまうのです。
ここで、ライトニングネットワークという架空の階層を作ってそっちで少額決済を多数行えば、その最終的な結果だけを10分に一度のメインであるブロックチェーンの記帳に反映させることで、大量の決済が安価な手数料で行えるようになります。
そうなれば、価値の保存先として認められることで多額の資金が流入した、ボラティリティが小さい安定な未来のビットコインを用いて、世界中の人々が少額決済の手段として利用する未来もありえるでしょう。
現在のワールドマネーサプライの規模は、72.5兆ドルです。ゴールドの資産規模約8.5兆ドルに加えて、このマネーサプライの10%でもビットコインが占めるようになれば、合計は16兆ドル程度となります。このときの1BTCの価格は約1億円です!!
🌸頭がお花畑になってきたよ🌸☆彡
最後に、パウエル氏がビットコインについて発言した際の重要な示唆を引用します。
暗号通貨が基軸通貨となる可能性はゼロではないが、そうなることは考えにくいと発言しつつも…
”DON’T ASSUME USD STATUS AS RESERVE CURRENCY PERMANENT.”
(米国は準備通貨としてドルの地位が永遠に続くと仮定するべきではない)
まとめ
世界経済への投資を行っている人であっても、各資産クラスの規模をある程度正確に把握できている人は少ないのではないでしょうか?
ドイツ銀行が持つCDSの規模は正確には把握されておりませんが、もしも破綻等があれば連鎖反応が引き起こされることによりリーマンショックとは桁が違う破壊力をもたらす可能性があるということが、そのデリバティブ保有資産規模からわかります。
そこから資本主義崩壊が導かれたら、現物資産のゴールドと、発行上限が2100万枚と決まっていて誰にもコントロールされない非中央集権通貨であるビットコインが逃げ道として選択されるでしょう。
S&P500が3000を超えて最高値を更新している今こそ、一度立ち止まって世界の動向に考えを巡らせるのも良い機会かもしれませんね。
なお、ビットコインの可能性は青天井であることを示しましたが、無論そうならない可能性もありますので、真に受けすぎずにそういう未来もあり得るという程度で受け止め、考える材料としてご活用いただけたらと思います。
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