現代の黄金の国(カントリー・エルドラド)を求めて【ロシア株式インデックス】

インデックス投資の極意

投資家の方であればPER(株価収益率)という言葉をご存知だと思います。

PERとは、投資先への投資額と同等のリターン(+100%)が得られると見込まれる期間(年)を指します。

さて、PERと言えば個別株を精査する際に使用する指標だと一般的には認識されていると思いますが、実は企業だけではなく各国のインデックスにも当てはめられます。

PERが低ければよいというものではないというのは個別株にてよく言われることですが、主要国家のインデックスであれば個別株ほどのリスクは無いと考えられます。

そこで、各国のPERを漁ってみたところ「これは!!」と思う国が浮上したので紹介します。

PERの具体的な説明については、「長期株式投資」さん(Twitter)という40代前半で既に6000万円ほどの資産を築いている能力者の方が、ブログ「配当再投資で資産形成」にて素敵なイラスト(漫画)と共に解説してくれているのでそちらに譲ります↓
投資入門者に知っておいてほしいこと その1 PER(1)
投資入門者に知っておいてほしいこと その2 PER(2)

世界各国のPER

それでは早速ですが、世界各国のPERを見ていきましょう。(2019年9月)

 

地域・国PER
(株価収益率)
PBR
(株価純資産倍率)
配当利回り時価総額
全世界16.62.32.51%47兆ドル
先進国17.12.42.45%42.2兆ドル
エマージング国13.41.73.04%4.9兆ドル
ヨーロッパ14.71.83.51%8.9兆ドル
アジア・パシフィック12.21.32.91%6.2兆ドル
BRICs12.61.72.57%2.9兆ドル
日本12.11.22.48%3.7兆ドル
米国20.33.51.93%25.7兆ドル
英国14.51.84.43%2.4兆ドル
オーストラリア16.72.14.16%1.1兆ドル
オーストリア8.51.13.84%312億ドル
ベルギー19.82.12.8%1522億ドル
カナダ16.123.22%1.3兆ドル
デンマーク17.33.72.08%2441億ドル
フィンランド15.41.94.83%1719億ドル
フランス16.41.83.19%1.5兆ドル
ドイツ121.63.12%1.2兆ドル
ギリシャ16.70.92.91%171億ドル
香港12.21.23.26%5336億ドル
アイルランド15.21.71.65%328億ドル
イタリア10.21.24.09%3616億ドル
オランダ162.32.86%5318億ドル
ニュージーランド23.82.73.93%429億ドル
ノルウェー14.11.74.11%1005億ドル
ポルトガル15.424.24%223億ドル
シンガポール13.61.24.41%1895億ドル
スペイン10.71.23.8%4051億ドル
スウェーデン20.32.32.99%3661億ドル
スイス18.92.82.91%1.3兆ドル
中国13.71.62.23%1.7兆ドル
インド21.62.71.43%5326億ドル
ブラジル14.62.22.85%4290億ドル
ロシア4.30.77.55%2163億ドル
チリ14.71.63.4%531億ドル
コロンビア11.91.34.09%240億ドル
チェコ12.21.46.09%80億ドル
エジプト10.62.43.15%99億ドル
ハンガリー9.71.52.29%163億ドル
インドネシア16.72.62.87%1068億ドル
イスラエル19.21.23.63%727億ドル
マレーシア18.31.63.47%1320億ドル
メキシコ13.523.28%1450億ドル
パキスタン7.41.16.82%19億ドル
ペルーマイナス1.40.79%32億ドル
フィリピン18.72.21.83%643億ドル
ポーランド11.21.33.64%462億ドル
南アフリカ13.91.93.55%2771億ドル
韓国8.20.92.47%6466億ドル
台湾14.41.84.27%6109億ドル
タイ15.223.03%1767億ドル
トルコ7.21.24.93%356億ドル

出典:myINDEX

それでは、黄金銘柄ならぬ黄金の国(カントリー・エルドラド)を探していきましょう。

ここで、PERのスクリーニング条件としては以下を設定します。

PERは10以下

PERが10以下であれば、10年以内に二倍を超える結果が期待できます。

さて、PERが10以下である国のリストは以下です。

PERが10以下の国
・オーストリア:8.5
・ロシア:4.3
・ハンガリー:9.7
・パキスタン:7.4
・韓国:8.2
・トルコ:7.2

該当国多すぎ!!ということで、次はPBR(株価純資産倍率)にてスクリーニング条件を設定します。

PBRは1.0以下

PBRが1.0以下であれば、本来市場が持っている価値に対して株価指数が過小評価されていると言え、市場が正当に評価されれば指数の回復が見込めます。

PBRについて詳しく知りたい方は、例のわかりやすいマンガシリーズをお読みください↓。

投資入門者に最初に知っておいてほしいこと その11 PBR(株価純資産倍率)

PBRが1.0以下の国を以下にリスト化します。

PBRが1.0以下の国
・ギリシャ:0.9
・ロシア:0.7
・韓国:0.9

さて、これら二つの条件を満たす黄金の国はどこでしょうか。

「黄金の国」候補リスト
・韓国(PER:8.2、PBR:0.9)
・ロシア(PER:4.3、PBR:0.7)

韓国とロシアの二か国が該当しましたが、韓国に比べてロシアの方が圧倒的に好条件なので、現代の黄金の国(カントリー・エルドラド)はロシアと決まりました。(ジパングどこ行ったーーーー!!!!)

※日本はPERが12.1、PBRが1.2とそこそこ好条件であり、政府と日銀、年金機構による濡れ手に粟の禁断の錬金術「財政ファイナンス」とも見受けられる日本株式ETFの買い支えが今後も見込めるため、中期的には上昇が見込めると考えてます。しかし、日本の国力自体は残念ながら衰退の一途を辿ると個人的に思いますので、長期的視点からはあまり投資したいとは現状考えておりません。

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ロシアの株式インデックスの優位性

さて、それではロシアの株式インデックスを見てみましょう。多くの投資家には馴染みの無いインデックスだと思いますが、MSCI ロシアというものがあります。

MSCIと聞くだけで安心感がありますね(MSCIコクサイにはいつもお世話になってます)。

このMSCI ロシアのトータルリターンの長期パフォーマンスはというと、さすが「黄金の国ロシアング」なだけあって、以下のようにまずまずのパフォーマンスを示しております。

出典:わたしのインデックス

MSCIロシアの潜在能力はわかったので、インデックスファンドをみてみましょう。
ETFで有名なBlack Rock社が提供するiシェアーズ MSCI ロシアETF というものがあります。

ファンドの詳細は以下となります。

出典:BlackRock

保有銘柄数は26社と少ないですが、とはいえ20社を超えていれば最低限の分散は効いていると言えます。経費率は0.59%であり、バンガード社の各種ETFと比べると不満はありますが、それでもパフォーマンスや個別銘柄へのアクセス性を考えると悪くはない水準です。

また、PER、PBR共に前項で見た値よりも悪化しておりますが、これは銘柄数と選定銘柄が異なるためでしょう。とはいえ、基準となるPER10以下、PBR1.0以下は満たしております。

ETFの値動きはというと、ここ10年間の新興国の典型的な値動きであり、あまり芳しくありませんね。キャピタルゲインはイマイチですが配当が多く出るため、先述のパフォーマンスとなっているのでしょう。

出典:BlackRock

ロシアの強みと地政学リスク

ここまでの考察で、21世紀の黄金の国はロシアかもしれないということがわかりました。

ロシアは、国家としては大きなポテンシャルを秘めていると思いますが、ご存知の通り地政学リスクがあります。

ロシアの強み
・資源大国
・科学力が強く、AI強力推進国
・BRICSに入る大国
ロシアの弱み
・共産主義国家の名残
・事実上プーチンの独裁政権
・中国と組んで米国との冷戦が水面化で続行中

強みとしては、資源大国であり、科学技術への投資も惜しまないところがあります。

また、プーチン大統領はAI強力推進派であり、2017年には「AIを制する者が世界を制す」と発言しました。更に、2019年10月には、2030年にはAIを人間と同等の知能にまで成長させることを目指すと宣言し、AI積極推進の姿勢を改めて強調しました。

中国もそうなのですが、このようなほぼ独裁政権の共産主義的な国家では、最高権力者の意思決定が国家の意思決定となります。どちらの国もAI開発を猛烈に推進しており、この戦略がハマれば米国を中心とした一極集中のグローバリゼーションの転覆もありえるかもしれません。

とはいえ、事実上の独裁者が舵取りを間違えた場合のリスクも当然存在します。また、私は米ソ冷戦が水面下では依然続いていると思っておりまして、この決着次第では敗戦国としての辛酸を舐め続ける可能性もあるでしょう。

このような地政学リスクが大きいことが、ロシアを低PER、低PBR国家とさせているのかもしれませんね。

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まとめ

PERとPBRの簡単なスクリーニングの結果、現代の「黄金の国」の最右翼はロシアだということがわかりました。

Country, El Dorado
・Russian(PER:4.3、PBR:0.7)

本分析を通して色々と学ぶことや考えることがあり、世界の現状を把握するために良い勉強となりました。

末筆となりますが、注意点としてPERとPBRが低いことが未来の高いリターンを保証するものではありません。また、言うまでもないことですが、投資を行う際はリスクを十分考慮した上で、自己責任でお願いします。

 

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