投資と一口に言っても色々な種類のものがあります。
株式投資であれば、インデックス投資、高配当投資、バリュー投資、グロース投資、セクター投資からレバレッジ投資まで、多種多様な手法があります。
本ブログでは一貫してインデックス投資を勧めており、私もリスク資産の大部分を米国株式市場(S&P500)を中心としたインデックスファンドに投じております。
インデックス投資は資産の増大化の効率性という観点で最も再現性の高い手法の一つと理解しておりますが、インデックス投資に向いている人もいれば向いていない人もおります。
そこで、インデックス投資に向いている人の資質は何かということについて本記事で検討してみましたので、投資スタンスが定まっていなかったり現在の投資スタイルにしっくりこないという方のご参考になればと思います。
インデックス投資、それはオトナのマシュマロテスト
インデックス投資とは、主に特定の株式市場を代表する指標(インデックス)に連動するファンドに投資することをいいます。
代表的なものとして、米国であればダウやS&P500、日本であれば日経平均やTOPIXがあります。
インデックス投資の特徴は、多数の企業の株式(もしくは債券)に分散させて投資することにより、個別株特有のスキャンダルによる大暴落、倒産や上場廃止といった特異的な事象を避けることにあります。
しかし、市場全体にベットする形態であるため、短期間で2倍になるような上昇は見込めず、ゆっくりと時間をかけて資産を育てていくような投資手法となります。
多くの投資家は速攻でお金持ちになろうとしますが、インデックス投資でそれが叶うことはまずありません。しかし、過去の歴史を見ると、長期投資では年間利回り数%という成長を遂げてきた実績があります。
つまり、20年後や30年後をターゲットとするのであれば、これに勝る再現性の高い高効率な投資手法は見当たりません。
マシュマロテストという心理学の実験をご存知でしょうか?マシュマロテストとは、幼少期の子供の前にマシュマロを乗せたお皿を差し出し、忍耐力を計るちょっとイジワルなテストです。
マシュマロを差し出された子供は以下のことを告げられます。
「このマシュマロをすぐに食べてもいいけど、私が部屋を出て帰ってくるまで食べずに我慢出来たら二倍の数のマシュマロをあげるよ。」
これを伝えられた子供は、試験官が部屋から出ていくと葛藤が始まります。おいしそうなマシュマロをすぐに食べてしまいたい、でも我慢してればマシュマロがもっと沢山貰える。でも食べたい・・・
マシュマロを食べずに我慢できたマシュマロテストの合格者たちのその後の追跡調査を行ったところ、統計的に見て有意な差で経済的な成功を収めていた(諸説ありますが)という一連の研究結果をマシュマロテストと言います。
さて、インデックス投資はオトナのマシュマロテストと考えられます。何故なら、インデックス投資とは未来の大きな果実のために、目の前の実ったつぼみたちを刈り取らずに我慢し続ける行為だからです。
なにもこれはインデックス投資に限ったことではなく、配当再投資を伴う高配当戦略もそうですが、そもそも配当というキャッシュフローを端から諦めてるという点でより我慢度が高いです。
配当金は課税対象となりますから、トータルリターンが同じ条件であれば配当金が少ない方が税の繰り延べ効果が働き、資金効率は上がります。
インデックス投資に向く人の特徴
それでは、インデックス投資に向く人とはどのような特徴をお持ちの方でしょうか?インデックス投資を長期的に続けていくには、以下四つの資質が求められると思います。
資質① 忍耐力
一番重要なのは、忍耐力でしょう。
これは、インデックス投資以外にも言えることですが、忍耐力が無いと投資で成功するのは難しいと思います。
短期的な暴落といった値動きは基本的に機関投資家が仕掛けてくるものですが、機関投資家は個人投資家を食い物にすることが重要な仕事であり、そのためには人間の心理を反映したチャートを巧みに使ってきます。
個人投資家がどこまで耐えられるかというのがデータを通しておそらくわかっているので、AIトレーディングも含めて機関投資家は個人投資家が損をしやすいように仕掛けてきます。
短期相場ではゼロサムゲームとなるので、誰かが得をするには誰かが損をする必要があり、機関投資家が得をするためには主に個人投資家を食い物にする必要があるからですね。
この攻撃を回避するには、相手にしないのが一番です。そのためには、値動きには狼狽しない忍耐力が必要となります。
インデックス投資は、一度決めたルールに従って数十年単位で投資活動を行うことを是とした行為です。これを行うためには、強い忍耐力が必要です。短期的な相場にはわき目もふらずに愚直に徳を積むが如く余剰資金を積みたてることが必要です。
私がオトナのマシュマロテストと呼ぶ所以です。
資質② 合理主義
投資の目的は個々人により異なるものであり、こうでなければならないという決まりはありません。当たり前ですが、完全に個人の自由です。
様々な考えに基づき多様なアセットアロケーションが存在するのは当たり前なわけですが、経済合理的に考えれば投資の目的は利益の追求であり、行きつく先は「資産規模の最大化」となります。
資産規模の最大化を成し遂げるためにも種々の手法があり得ると思いますが、過去のデータから統計的に最も期待値の高いリターンを安定して享受できる再現性の高い手法の一つが、インデックス投資です。
多数の銘柄に分散を効かせることにより、不要なリスクを取らなくて済むというのが学術的に証明されているからです。
これを支持するのが合理主義者であることに疑いの余地は無いでしょう。人間の感情を完全に無視して合理性(統計的な優位性)を突き詰めれば、行き着く先の一つはインデックス投資となるでしょう。
インデックス投資ファンドが、八割以上のアクティブ投資ファンドに勝る(生存バイアス込みなので実態はもっと高い割合)という事実がこの根拠です。
資質③ 未来志向
未来志向型の人であれば、将来の利益に夢を膨らませることが出来るため、現在の利益を優先する必要がありません。これは何も現在をないがしろにしているとか、現在を犠牲にしているとかではなく、現在を大事に楽しみながらも輝かしい未来を夢想することは可能です。
私がまさにこのタイプなのですが、経済面だけでなく科学技術が拓く未来についても妄想を膨らませながら日々過ごしております。
世の中の日々の動きや人々の話題のほぼ全てがどうでもよく感じるという難点はありますが、未来に希望を持って生きるのはとても楽しいですよ!
資質④ 強い信念
ここまでの話でお分かりだと思いますが、インデックス投資は十年単位で継続して初めて当初目論んでいた利益を享受できる手法ですから、強い信念が必要です。
この信念を作り出すためには、これまでの株式市場の歴史を知ることが重要でしょう。株式市場は、全体で見れば常に右肩上がりでした。30年前から今に至る日本株式のような長期の低迷という例もありますが、これはその前のバブルが膨らみすぎた結果であり、成長の罠に体全体でダイブした成れの果てであると考えられます。
確かにこのような不運は存在するので油断はできませんし、過去起こったこと以上の想定外が起こらないとは言えませんが、高い確率で長期的には右肩上がりであったというのが過去の歴史からわかります。
特に、米国株式市場では、17年以上株式インデックスを保有しながら配当再投資(分配金再投資)を愚直に行えば、運用コストや税金を無視した前提ではありますが必ず実質リターンでプラスになった歴史があります(以下の記事で計算しております)。
インデックス投資は決して万能な手法ではなく、また過去のデータも万能ではありませんから確実に成功するということは言い切れません。しかし、米国株式市場では少なくとも過去200年は成立してきましたし、統計的にかなり高い確率でうまくいくことがわかっております。
長い投資人生では、今回のコロナショックのようなことが幾度となく訪れるでしょう。それにも負けずに愚直に配当再投資を伴う積立投資を継続し続けるには、ある種の信仰心にも似た強い信念が必要だと考えます。
まとめ
インデックス投資に向く人の特徴を考えてみました。
結論としては、必要な資質は以下四つと考えられます。
インデックス投資家にはこれらの資質のどれもが必要とされているというわけではありませんし、インデックス投資家が他の投資家よりも優れているというわけでもありません。
また、他の投資スタイルの人がこれらの気質を備えていないと言いたいわけでもありません。単純に、こういう気質があればうまくいきそうだねという向き不向きの問題です。
現在の投資スタイルがしっくりこないという方は、これを機にインデックス投資への向き不向きに思いを巡らせてみていただければと思います。
コメント