世界的な規模で拡がる新型コロナウイルスの拡散ペースはすさまじく、まるでPCがコンピュータウイルスにハックされるかのように、新型コロナウイルスによる人類と世界経済へのハッキングが進行しております。
この新型コロナウイルスの出現の経緯を巡っては、様々な言論が生じております。
例えば、新型コロナウイルスは武漢にある世界屈指の疫学研究所から流出した人工生物兵器であるだとか、HIVにも含まれるたんぱく質構造が4つ付いているため自然発生とは考えにくいだとか、米中貿易戦争の一環として米国が中国に仕掛けた人工生物兵器であるだとか、欧米で流行っているウイルスと中国を中心とした日本を含む東アジアで流行っているウイルスとでは別の種類の人工生物兵器であるだとか、もしそうならば欧米で蔓延するウイルスは中国が仕返しとしてばらまいたコロナウイルスであるだとか、これは人工生物兵器戦争だとか、様々な憶測が跋扈しております。
疑心暗鬼と陰謀論が渦巻く中、どれも真相は定かではありませんが、人類と資本主義社会が大打撃を受けていることは間違いありません。
経済面では、ダウ平均をはじめとした世界中の株価指数が異例の下落速度で-30%を超え、欧米での都市封鎖などの状況をみるに、リーマンショックを超える損害を引き起こすのではという言論も強くなってきております。
米国では数百兆円規模の景気対策案が検討されておりますが、それでも株価の下落が止まる様子は今のところありません。
資本主義経済は疫病により完全にクラッシュしてしまうのでしょうか?
新型コロナウイルスの蔓延がいつ、どのように収束するかは不明であり、また株価がどこまで下落するかは未知数ですが、時間の経過と共に事態は収束に向かい、株価は底打ちし、上昇に転じ、やがて最高値を更新することを私は確信しております。
何故そう言えるのかというと、株式市場はこれまで幾多の比べ物にならないほどの困難を乗り越えてきたからです。
本記事では、これまでの人類と疫病との戦争の歴史を俯瞰し、世界経済の代表格ともいえる米国株式市場がこれらに打ち克ってきた史実を確認します。
米国株式市場は幾多の疫病を乗り越えてきた
米国株式市場は以下の図が示す通り、過去200年以上に渡って実質トータルリターンが約7%というとてつもないハイパフォーマンスを叩き出し続けてきました。
出典:AAII Journal
この200年の間にはどのようなことがあったでしょうか?
産業構造の抜本的変化、二度の世界大戦と世界中での絶え間ない紛争、共産主義国家や独裁国家の興亡、核爆弾の脅威など、挙げれば切りがありません。
また、人類の歴史は感染症との闘いの歴史でもあります。
古くは天然痘から始まり、ペスト、マラリア、黒死病など様々な疫病により世界中で数億人単位の人が死亡するという悲劇が起こり続けました。
紀元前から存在すると言われる天然痘では当時の世界人口が1/8になるほどに大流行しましたし、ペストでは500年代に流行し、最大で一日一万人が死亡したそうです。
さらに、1300年代中盤に出現した黒死病ではヨーロッパの人口の30~50%が亡くなるという大災害となりました。
ここ200年間でも疫病は数々の猛威を振るっております。
1820年にはコレラ菌の感染が広がり10万人が死亡しました。1918年にはスペインかぜが大流行し、世界中で4000万人の死者が出ました。
紀元前から存在する結核は、1935年以降しばらくの間、日本では死亡原因の首位となり、1950年に抗生物質が出来るまで猛威をふるい続けました。
結核は世界では20億人が感染し、毎年400万人が死亡しました。結核は耐性を持つ構造に進化することにより未だに存在しております。
1957年のアジアかぜでは世界で200万人以上が亡くなり、1968年の香港かぜでは世界で100万人以上が亡くなったといわれます。
1986年にはエイズにより6500万人が感染し、これまでに2500万人が死亡しております。
昨今では、MERSやSARS、エボラ出血熱や豚インフルエンザなどが流行しました。
そしてこの度、新型コロナウイルス(COVID-19)が登場しました。
メンツばかりを気にする中国共産党がウイルスの抑え込みに失敗し、かつ世界への発信を二カ月も遅らせた結果、各国の対応は後手後手に回り、最重要である特効薬やワクチンの開発期間も稼げず、買収されたWHOが遅ればせながらパンデミック宣言を行い、世界中の経済活動は停滞し、感染ペースの著しい国や地域では完全な封鎖が行われ、世界はまるで戦時のような様相を呈しております。
その結果、ダウ平均をはじめとした世界中の株式指数がたった一か月足らずで約30%下落しました。感染拡大の大きい欧州では現在35%以上の暴落です。まだまだ下落は止まる様子がありません。
世界経済の行く末に不安になっている投資家の気持ちもわかります。
ウイルスの蔓延は指数関数的なペースで進行します。このまま何の改善もみられないまま感染が拡大していけば、都市封鎖が拡大していき、経済活動が停止し続け、やがては耐えられなくなった企業が倒産し、銀行が取り付け騒ぎを起こし、場合によっては「債券の錬金術」で膨らみ切った債券市場が逆回転を来すことによりデリバティブ市場を巻き込んだ未曽有の金融危機に発展し、リーマンショックどころか世界大恐慌を凌ぐ暴落が生じるかもしれません。
でも、思い出してみてください。過去200年の米国株式市場の実質トータルリターンが約7%であったと申しましたが、この期間には上に列記したような数百万人や数千万人が亡くなるような幾多の疫病が蔓延しております。その他の歴史的な大事件や世界的な戦争も多数生じました。
そのような資本主義社会の存続を左右しかねない危機的な状況が度々訪れたにもかかわらず、資本主義社会は機能し続け、長期的な実質トータルリターンは年平均約7%であり続けたのです。
これまでは乗り越えられたけど、今回のみは無理だと思うかもしれませんが、株式市場は流行りの疫病ごときでつぶされるような代物ではございません。これは、米国株式市場に限らず、資本主義経済全体に言えるものです。
まとめ
人類の歴史は疫病との闘いの歴史であり、世界経済は新型コロナウイルスよりも遥かに強いウイルスたちによる苦難を乗り越え続けてきたということを説明しました。
人間の感情は外乱に過剰に反応しやすい性質があるため(進化の過程で必要だったのでしょうが)、楽観も悲観も行き過ぎがちです。しかし、歴史を振り返ってみれば、資本主義社会を一時的に停滞させることはあっても、致命傷を負わせるほどの力がCOVID-19にあるとは思えないということがわかります。
しかし、このウイルス蔓延による景気後退を起点としてその他の爆弾(金融危機等)が爆発する可能性もありますので、十分な警戒は必要です。
とはいえ、たとえ未曽有の大恐慌が訪れたとしても、人類の営みの集積体である世界経済はそのレジリエンス性を遺憾なく発揮して、踏みにじられた後の葦のようにやがてはたくましくしなやかに首を上げることでしょう。
出典:AAII Journal
本ブログではいつも書いている米国株式市場の実質トータルリターン約7%(全世界なら約5%)を享受するには、現在のような暴落相場であっても株を手放さずに、じっと所有し続ける必要があります。
さらにいうと、このような局所的な暴落時に買い進めることが出来れば、未来には平均以上のパフォーマンスが期待できるのです。
この暴落相場がどこまで続くのか私には見当もつきませんし、特効薬やワクチンがいつ投入されてウイルスが驚異でなくなるのかも判断がつきません。もしかしたら、リーマンショックを超える衝撃を市場にもたらすのかもしれません。
それでも、私は愚直にS&P500インデックスファンドを買い続ける所存です。
それは、幾多の困難を乗り越えてきた人類、そして資本主義社会の底力を信じているからに他なりません。
以下、関連記事です。
コロナショックにより2020年3月末の段階でS&P500は2300ドルであり、これは3年ほど前の価格水準にタイムスリップした状態です。つまり、絶好の仕込み機会とも考えられます。
株価暴落により不安に苛まれている方は、原理原則を確認することをおすすめします。米国株式投資の原理原則は、本ブログでは「宝の地図」と称するシーゲル教授が示した片対数グラフと、「ピケティの不等式」となります。
宝の地図↓
ピケティの不等式↓
コメント