人材採用戦略から見る大型株インデックス投資がイージーゲームである理由

各種考察

株式投資とは元来は個別株に投資するものでした。

興味のある会社について調査し、経営戦略や財務状況を把握した上で、この会社はまだまだ伸びる、儲かると判断したら投資するというのが本来の株式投資でした。

しかし、個別株は倒産のリスクがあるため10社以上に分散投資するのは必須ですし、日々のニュースを追い決算情報を読み解くなど手間がかかります。

また、多くの手間をかけて銘柄選定したからといって、その銘柄が市場平均を上回るかというと全くそんなことはありません。確率的にはイーブンです。

そんな中で開発されたのが、インデックスに紐づく市場を一括で購入するというETFや投資信託を用いた投資手法です。

この手法は、効率的な米国株市場であっても長期的にみて市場平均である年7%程度の利益しか上げられませんが、株価がゼロになるリスクはありませんし、時間や労力を含めた管理コストも個別株投資に比べたらあってないようなものです。
投資における一大ブレークスルーと言っても過言ではないでしょう。

本記事では、個別株投資に対するインデックス投資の優位性について、組織における人材採用戦略に絡めて説明します。

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面接による人材採用があまりうまくいかない理由

ほとんど全ての企業において、人材採用は人事や配属先の管理職による面接を中心にして行われます。

採用形態としては、新卒採用と中途採用に分けられます。

このうち中途採用では、すでに社会経験のある人材を即戦力として採用する必要がありますが、応募者が社会に出てからの実績を査定することにより、ある程度その人材の能力を推し量ることができます。

問題なのは、学校を卒業してこれから社会にはばたく新卒者の採用です。

多くの企業では新卒一括採用が主流であり、特に倍率が100倍を超えるような大企業では新卒で入る以外に入社ルートがほぼ無いような会社も多くあります。

しかし、新卒者の多くはまだ社会における実績が無いですから、多くのケースでは能力を正当に評価できないため、ポテンシャル採用という明確な指標が無い雰囲気重視の曖昧な採用をすることになります。

そのような曖昧な基準に基づくポテンシャル採用がうまくいくはずもなく、新卒採用者の3年以内の離職率は3割を超えているのが実態であり、企業側にとっても応募者側にとってもマッチングはうまくいっていないと言えます。

期待していた新人が思ったほどのパフォーマンスを発揮しないという不満は多くの企業で共通の悩みでしょうし、配属先で下らない仕事しか与えられずに自分の市場価値が死んでいくことに焦燥感を覚える優秀な若手も多いことでしょう。後者は、優秀な若手ほど早期に転職する所以ですね。

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大企業が高学歴の人材を採用する理由

インターネットやSNSの台頭により多様性が徐々に認められ始めてはおりますが、日本は依然として学歴主義国家と言えます。そして、この傾向は日本のみならず多くの国でも同様です。

なぜ、日本だけではなく主要な先進国においても、企業の人材採用戦略では学歴主義が跋扈しているのでしょうか?

その理由は、高学歴の人材は平均すると高いパフォーマンスを発揮するからです。
大企業が高学歴人材を独占し続けている中で、長期間に渡り大企業が大企業であり続けており、中小企業の大部分はいつまでたっても中小企業である、という事実がこのことを物語っております。

大企業はそのブランド力や資本力があるため利益を上げやすいという有利な点が確かにあります。しかし、新たなサービスや企画、価値ある商品を生み出すのはその企業の社員です。

スケールのしやすさや開発費の投入額では大企業の方が有利ですが、アイデアや技術力といった人間が生み出す部分ではブランド力や資金力は無関係です。そして、大企業が大企業であり続けるためには自らの高い人件費を払いながらも年々成長を遂げ続けなければならず、そのためには新参者たちを蹴落とし更なるシェア獲得競争に世界基準で日々取り組み続ける必要があり、そこで重要なのはゼロからイチを生み出す技術力やアイデア・企画力や論理的思考力です。

学生時代に能力が高かった人も大企業に行くとダメな人材になるということがよく言われておりますが、現実には大企業の人材は平均値で見ると優秀であり、このようなアウトプットを出せる人材が大企業に集まっていると言えます。

そして、現状では平均的に優秀な人材を選び出すための汎用的な指標が学歴以外にはないため、大企業は学歴主義を採用しているという極めて合理的なロジックがそこにはあります。

最近では専門性の高いIT人材の採用などではGithubなどのコード開発プラットフォームでの成果物(つまりプログラム)を採用者が見て採用するかどうか決めるという、学歴は無関係である成果主義的な採用方法が生まれ始めております。やがてはAIが面接を担当して学歴以外の重要なファクターをビッグデータから抽出する時代が来るでしょうが、現在は主に”学歴”と面接官による”印象”が就職市場では最重要となっております。

なお、就職活動での面接において”第一印象”は非常に重要です。人は、初対面の人と会う際には最初の二秒で相手の印象を判断します。そして、研究によるとその第一印象は簡単には覆らないようです。

つまり、面接では最初の二秒で大部分が決まってしまうため、最初の二秒に全力を注ぐべきなのです。美男美女が就職に有利である理由は、見た目から得られる”印象”が良いからですね。おそらく、営業活動などでも同様でしょう。

余談ですが、私は大学院での就活の際もその後の複数回にわたる転職活動の際も、一社のみしか受けずに全て合格しました。そんな私が重視した点は二つあります。

一つ目は、面接官との初対面の際にはっきりとした声で挨拶をしつつ、無理にでも笑顔で対面するということです。最初の二秒でその人の印象が決まってしまうということと、笑顔が遺伝レベルで敵か味方かを判断する材料であること、面接はポテンシャル採用という曖昧な採用基準に基づく不合理な仕組みであることを知っていたからです。

二つ目は、その企業や希望の部門について十分に調査し、自分がどのようなバリューを発揮できるかを過去の自分の実績や経験などから論理的に説明できるように準備することです。これにより、採用後の会社に対する貢献が見えてこない数多のライバルたちとの差別化が図れます。

更に余談ですが、私は社会に出るまでは、学歴主義など時代遅れで保守的である終わった考え方だと思っていました。しかし、社会に出て研究所や業界トップ企業など数社経験し、色んな人と仕事をした結果、平均値を見ると高学歴はその他の人に比べると遥かに生産性が高く優秀で、人間力も高いことがわかりました。大企業の本体とグループ企業との人材を比較すると、その差は歴然です。

これはあくまで私の中の観測での平均値であるため実際にはかなりの個人差があります。例えば、高専卒でめちゃくちゃ優秀なエンジニアも数人居ましたし、東大大学院卒(博士)でほぼ何の成果も出せないような研究職のおじさんもいました。

また、この意見は不十分なデータ数(合計200人程度)における種々のバイアスがかかった個人の感想にすぎませんが、私は高学歴の人と仕事をする方が圧倒的にやりやすいと感じます。
その理由は、上述の通りアウトプットの平均値が高く、コミュニケーションがスムーズだからです。

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S&P500インデックス投資は世界中の高知能人材の囲い込みと同義

翻って投資に話を戻します。

アクティブファンドの約80%はインデックスファンドに負けるという経験則があります。
10年などの長期で見たら95%が負けるとの分析結果もあります。10年残るという偉業を遂げたアクティブファンドを対象にしても、です。

S&P500などの米国株インデックスは、米国を代表する約500社に対して時価総額比率で重み付けをして表される指数であり、過去200年の歴史において実質リターンは平均で年6.7%というハイスコアを叩き出し続けています。

何故このようなハイパフォーマンスであるかというと、日本の一部上場企業に勤める高学歴人材よりも遥かにレベルの高い最優秀頭脳が世界中から集まる米国において、TOP500社に勤める人間たちのパフォーマンスの平均値だからです。

つまり、大型株のインデックス投資が平均してパフォーマンスが高いのは、大企業が高学歴の人材を採用することで、その人材が平均して高収益を叩き出すためです。

個別株投資とは、学歴未考慮で一人もしくは数人を人事採用するようなものです。

キラリと光るハイパフォーマンスな人材である可能性もありますが、運の要素が強いということは会社の人材採用の結果を毎年みているサラリーマンならわかりますよね。

一方で、S&P500などの大型株を指標としたインデックス投資は、難関大学出身者を大量に採用して平均化するようなものですので、個々の尖った個性は失われますが、一貫して平均的に優秀な成果を上げ続けることができるのです。

従って、筆者は投資でも大企業集団である株式インデックスに資金を投じるのが効率的だと認識しております。

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まとめ

人材採用手法と投資手法とを絡めてインデックス投資の優位性を考えてみました。

産業革命以降の現代は「知識社会」と言われます。ここで評価されるのは「知識」であり「頭脳」です。

現状我々が生きている社会が知識社会である以上、頭脳労働が肉体労働より評価されるのは構図として必然です。この頭脳レベルが平均的に高いのが高学歴ホルダーです。

そして、大企業はこの高学歴ホルダー達を独占し続けてきました。特に、世界中から高知能を持つ高学歴ホルダーが集まるのが米国です。その米国の大企業500社に紐づく指数がS&P500です。

不景気による指数の暴落は免れ得ませんが、上記のことは、S&P500インデックス投資が長期的に見たら今後もハイパフォーマンスであり続けると筆者が考える大きな理由の一つです。

S&P500に与する企業に採用される能力は私には無いですが、S&P500インデックスファンドに投資をすることにより、間接的にそのような能力を持つ優秀な人材達の労働力のおすそ分けを得ることができるのです。

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