成功した投資家たちは口を揃えて「投資を始めるなら少しでも早く始めた方がよい」と言います。
この理由は、株式や債券等のプラスサム市場への投資では長期的に見ればリターンは一定値に収束し、時間の経過と共に複利の効果(倍々ゲーム)がはたらくためです。
とはいえ、投資をしたことが無い方にとっては、リスク資産への投資は勇気が要りますよね。
本記事では、早く始めた方が良いという理由と、このことにより得られるリターンを知の巨人二名による学術的根拠を用いて説明します。学術的といっても難しくはありませんのでお気楽にお読みください。
株式投資により得られる長期的なリターンの学術的根拠
株式市場は長期的に見たら一定レベルのプラスリターンを株主にもたらし続けてきました。
特に米国株式市場への配当再投資条件では、200年以上に渡り実質リターン(インフレ率を除算した実質的な購買力)が年間6.7%というハイパフォーマンスを遂げてきたことが、株式投資家であればお馴染みのジェレミー・シーゲル先生により示されました。(以下のツイートの図もシーゲル先生によるものです)
投資に関して学んだことや考えたことを色々書いてきましたが、結局伝えたいことはこの一枚の図に全て書かれているんですよね。
私はこれ以上に重要な図を他に知りません。「この世のすべて」とまでは言いませんが「株式投資のすべて」が記された、宝の地図だと思ってます。 pic.twitter.com/yLlJO26Gj3— ニューロンズ💰理系の錬金術師 (@Singularitalian) 2019年8月29日
米国だけではなく、全世界の株式への投資であれば、約100年間に渡り実質リターンが5.2%でした。
このように、投資によるリターンを表す資本収益率「r」が経済成長率「g」(≒給料の上昇率)と比較してずっと大きいということは、古代から現代まであらゆる地域で「r > g 」となったことを膨大なデータで示したフランスの経済学者トマ・ピケティにより証明されております。
つまり、過去のデータを鑑みれば長期投資であれば超高確率で報われるというのが投資の本質であり、その中でも株式投資は長期間に渡り高いパフォーマンスを示してきたということです。
ただし、世界経済には好景気と景気後退のサイクルが存在しており、このサイクルが10年以上であることから、短・中期的な視野でいる個人投資家は景気後退時や短期的な市場の綾のふるいに落とされて市場から退場してしまいがちです。
そうならないためにすべきことは、株式投資は長期的には上述の平均リターンに収れんするという「平均回帰の法則」を心にとめて、長期的な視野で愚直に投資し続けることなのです。
この平均回帰の法則は、「r > gの法則」を示した稀代の経済学者トマ・ピケティ氏や、200年の米国株式市場を研究したシーゲル先生が、膨大なデータを用いて実証済みです。あとは、彼らが示したことの真意を理解し、腹落ちさせるだけです。
投資を早く始めることによる効果
さて、それでは投資を早く始めることによる効果を試算していきましょう。
長期投資を念頭に置いているので投資先は株式とし、そのリターンは全世界株式の平均実質リターンから運用手数料等を引いた年率5%と仮定します。
この条件で、60歳までに1億円を作るのに必要な年間&月間投資額を計算してみます。投資開始時期は、20歳から50歳まで5歳刻みで開始することとします。
資産額の推移は以下のようになりました。20歳から始めた青線のケースでは、一貫して同一の年間投資額であるにも関わらず、最初の傾き(資産増加速度)に比較して後半の傾きが圧倒的に大きくなっているのがわかります。これが圧倒的な複利の効果です。
次に、投資開始年齢毎の年間と月間の投資額を以下にまとめます。
(単位:万円)
投資開始年齢 | 20 | 25 | 30 | 35 | 40 | 45 | 50 |
年間投資額 | 83 | 111 | 150 | 210 | 303 | 464 | 795 |
月間投資額 | 6.92 | 9.25 | 12.50 | 17.50 | 25.25 | 38.67 | 66.25 |
総投資額 | 3320 | 3885 | 4500 | 5250 | 6060 | 6960 | 7950 |
リターン(%) | 301 | 257 | 222 | 190 | 165 | 144 | 126 |
各開始年齢毎の月間投資額をグラフにすると以下となります。
投資開始年齢が遅れるほど、必要投資額が加速的に大きくなっていくことがわかります。これが、多くの一流の投資家達が「投資はなるべく若いうちに始めた方が良い」という理由です。
たとえ若い時期の投資額が少額であっても、その投資の価値は歳を重ねるごとに指数関数的に増大していくのです。
まとめ
なるべく早く株式投資を始めるべきであるという学術的根拠と、その効果について説明しました。
頭の良い人たちにより、株式投資の長期投資での有用性は実証済みです。あとはやるべきことをやるだけであり、それも可能な限り早く始めるということが学術的な解なのです。
リセッションが迫っていると言われて久しいですが、本当にリセッションが来るのか、またいつ来るのかは誰にもわかりません。
それに、たとえ近い将来にリセッションが来たとしても、今から投資を始めていれば景気後退時という最高のタイミングで積立投資を始めることができ、結果としては安値でガッツリ仕込むことができることになるでしょう。また、来なかったら来なかったで粛々と枚数が増やせます。
すぐに報われるかどうかはわかりませんが長期的には十分なリターンが期待できると科学が証明している「巨人の肩の上に乗る手法」が、長期積立株式インデックス投資をなるべく早く始めることなのです。
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