前回の記事では、インデックス投資の出口戦略で安全域を担保しようと思うと、運用資産に対して取り崩し可能な手取り収入は年率3%であるということについて説明しました。
4%ルールを名前だけ聞いて、年間生活費の25倍(=100/4)の資産を築けばOKだと認識している方にとって、手取りで考えると実は3%までしか許容されないと言う事実はなかなかシビアなものがあると思います。
とはいえ、これは配当戦略で言うと配当利回り3.75%の高配当ポートフォリオを作ったことに匹敵しますので(3.75×0.8=3%)、決して見くびることはできません。
細かいことを言うと、配当戦略は元本に手をつけないことや、日本株なら総合課税と分離申告を用いることで税率5%に抑えられるなどの違いはありますが、本筋からズレるのであくまでも単純計算での比較ということでご理解下さい。
ただし、4%で考えていたものが3%になってしまうということは単純計算で収入が25%減額される(3/4=75%)ということであり、言い換えるとリタイアに必要な資産が33%増(4/3=133%)ということになります。
ということで、FIREのハードルの高さ、現実の厳しさに打ちひしがれる思いではありますが、完全リタイアではなくセミリタイアであれば資産運用のみで生活費の全てを賄う必要はありません。
セミリタイアの際にお勧めする収入形態の一つとしてWeb事業などをはじめとした事業所得がありますが、今回は月1万円の事業所得や月1万円の固定費削減が、運用資産400万円に匹敵する事実について説明したいと思います。
副業の定常月収の価値は400倍
ブログやYouTubeを行なっている人にとって、2020年7月現在は試練の時を迎えていると言えそうです。
コロナショックによるGoogleのアドセンス広告単価の激減と、検索アルゴリズムのコアアップデートにより個人ブログの検索順位低下が伴い、どうやらブログで稼いでいくことはかなり難しくなったようです。
私はここ数ヶ月ほどブログ更新をサボっていたためコアアップデートの影響なのかブログ更新頻度が原因なのかわかっていなかったのですが(そもそもコアアップデートも最近まで知りませんでした)、収益が激減していることは確かです。
というような感じで、Web事業も波がありますし管理も大変なので不労所得とは言えませんが、もしもこの収入を資産運用のみで補おうとした場合にはいくらに匹敵するか計算してみると面白い事実が浮かび上がります。
インデックス投資の出口戦略として3.5%ルールを採用したとすると、実際の手取りは年間3%です。これは、月に換算すると0.25%となります。0.25%というのは、全体に対する割合としては1/400と同等となります。
これは、資産運用で月1万円の定常収入を得るためには400万円の運用資金が必要であることを示しております。
となると、月1万円の副業による収入の価値は、資産運用に換算すると400万円に匹敵します。
もしもブログやYouTubeによって月5万円の収益を平均で得られているのであれば、この価値は資産運用額2000万円分となります。つまり、セミリタイアタイミングが2000万円分早くなるということです。
しかも、リタイア後に個人事業主としてブログやYouTubeなどのWeb事業を運営していく場合、これらの収益は事業所得として勘定することになります。事業所得は、65万円までは青色申告特別控除により非課税となりますし、基礎控除も入れれば年間約100万円までは収入の全てを手取りとして受け取ることができます。
もしも年100万円を超える規模の場合でも、家賃や水道光熱費、電話代やインターネット回線費用の一部(概ね3割程度)を経費として利益から差し引くことが可能です。つまり、月15万円ぐらいまでの事業所得であれば非課税で受け取れるということですね。
さて、先ほどの計算でいくと、月15万円の収入を資産運用額に換算すると6000万円の価値となります。生活費が月25万円だとすると、資産運用のみでこれを賄おうとすると1億円もの資産が必要ですが、月15万円の安定した事業所得があれば4000万円の運用資産で生活していくことができます。
これが、月一万円の副業が400万円に匹敵するという事実の破壊力です。
固定費月1万円削減も同様の価値あり
本業に精一杯で副業なんてできる気がしないとか、ブログなどをやってみたけどうまくいかなかったという人も多いと思います。確かに、ブログやYouTubeは向き不向きがありますし、収益化されるまでにはそれ相応の作業量と忍耐期間が必要となりますから、本業を頑張った方が効率的ということもあると思います。
そのような状況の人が取るべき選択肢として、節約があります。
なぜなら、可処分所得を増やす副業月収1万円と、可処分所得を温存する固定費削減月1万円の価値は同じだからです。
つまり、副業同様、月1万円の節約にも運用資産400万円の価値があるということです。
しかも、副業と違って固定費削減を中心とした節約にはムラがありませんし、一度仕組み化してしまえば努力もさほど必要ありません。格安SIMを利用していない人はこれを採用することで月4千円ほど固定費が下がりますし、自動車保険を見直すだけで月数千円安くすることができます。これを夫婦2人分行えば、月1万円の固定費削減なんて簡単にできます。
軽い気持ちで月々払っているサービス料には実は400倍の価値があると考えると、勿体無いと感じるものもあると思います。そのようなものこそ、真っ先に解約すべき対象かもしれません。
副業と節約、どちらを優先するべきか?
それでは、個人事業と節約の優先順位について考えていきましょう。
個人事業も節約も手をつけて来なかった人が実際にどちらから手をつけてみるべきかというと、まずは節約からやるべきでしょう。
個人事業は初めのうちはなかなか成果が出にくいですし、じっくりと腰を据えて取り組む必要がありますが、節約に関してはやればやっただけ成果が得られます。
しかも、固定費削減であれば、一度仕組みを作ってしまえばあとはほっといてもリターンが得られ続けますから、早めに取り組むのが吉です。
固定費の節約に取り組みながら、少しずつ個人事業について調査を進め、やれそうなものがあればやってみると良いでしょう。
Web事業については、戦略がかなり重要です。自分の好きなことでかつニッチなところで戦うべきでしょう。とはいえ、いつまでも計画を練り続けていても始まりませんので、これだと思うモノがあればまずはやってみるというスタンスで良いと思います。本ブログもそんな感じで始まりました。
先述した通り、Web事業であればかなりじっくりと取り組む必要があり、ブログでは100記事書いてようやくスタートラインです。100記事投稿して月1万円も行けば相当優秀です(本ブログは多分そこまで届かなかったと思います)。この間に、長期的にやっていけそうか判断しつつ、経験をストックしながら軌道修正を図っていくことが望ましいでしょう。
また、収益に固執しすぎると続きません。初めのうちは完全無償の慈善事業だと割り切って、好きだからとか楽しいから、伝えたいことがあるからという内的動機で続けていくのが結局は報われるんじゃないですかね。
これはYouTubeにも言えることでしょうが、ある程度のクオリティが保たれていれば、あとは続けた者勝ち、成果物を多く提出した者勝ちであるのが現状だと思います。
Web事業は参入障壁が低いかわりに、初期フェーズはレッドオーシャンです。NARUTO風に言うと、「血みどろのおぞましき忍の戦い」がそこにはあります。現に、殆どの人が1年以内に辞めるそうです。
これは逆に言うと、続けた者ほどライバルが減っていくということだと私は理解しております。(ブログをろくに更新もせず絶賛停滞中ですから偉そうなことは決して言えませんし、私自身が継続は本当に難しいことだと日々痛感しております)
Web事業でなくても、個人事業は大きいものだと不動産経営や太陽光発電、小さいものだとせどりや修理・リサイクル系からITサービスの立ち上げなど、色々な可能性が考えられます。兼業農家だって立派な事業でしょう。
すでに節約か個人事業のどちらかに手をつけている方は、もう一方にも着手してみましょう。どちらもある程度やっていくと、プラトーとでも呼ぶべき停滞期が必ず訪れます。今のやり方ではこれ以上は大して成果が得られないという状態ですね。
そこまでくれば、もう一方に手をつけるのが効率が良いでしょう。どちらもプラトーまで来てしまったら、打開策が見つかるまでは無理のないペースで気長に続けていくのみですね。そこまでくれば生活費も十分少なくてかつ事業所得も月数万円ぐらいにはなっているでしょうから、あとは運用資産が膨らむのを待ちつつ次の一手を模索するというフェーズになりますね。
まとめ
副業や節約により生み出した月1万円には、不労所得換算で運用資金400万円の価値があるという事実について説明しました。
こう考える事が出来れば、副業や節約にも身が入りそうですよね。ということで、本記事は半ば自分のために書いた記事でもあります。
本業と資産運用だけでなく節約と副業を加えることで、四輪駆動で道なき道を疾走していきたいものですね!
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