FIRE(Financial Independence, Retire Early:経済的自立による早期退職)への道を歩む修行僧たちは世界中で増えており、日本も例外ではありません。しかし、増えているとはいってもそれは未だに圧倒的なマイノリティであり、今後もそうであり続けるでしょう。
FIREという名称が出てきたおかげで局所的なブームとなっているように見受けられますが、これまでも同様の生き方をしていた人たちは一定数いました。しかし、概念を顕在化させるのに適切な用語、いわゆるパワーワードが無かったため、広く流布されることが無かったのだと思います。
さて、昔から一定数存在していたアーリーリタイア層ですが、どのような人がこの道を歩むのでしょうか?
私の中での結論は、FIRE戦略は弱者のための生存戦略であり、それは「弱者のゲーム」と換言できます。本記事ではこの辺のことについて、個人的な考えを記そうと思います。
FIRE戦略、それは「弱者のゲーム」
FIREを達成する人の中には強い個性と高い能力を持った猛者が一定数おります。
特に早期退職への道を選択するような差し迫る必要性は無いが、頭脳明晰であるため世の中の搾取の構図をいち早く見抜き、合理的に考えて人生の早い段階で労働階級から卒業した方が良いと判断する強者もいることでしょう。
このことは間違いないのですが、おそらくFIREを求める多くの人は弱者と言えると思います。何故なら、普通の人が普通に労働して普通に生活を営むことは本来それほどの負荷にはならないからです。
FIRE生活を望む多くの人は、普通の社会人生活すら普通に営めないような、或いはそのような世の中では当たり前の生活に納得して折り合いをつけることができないような「ろくでなし」でしょう。多くは、何らかの原因により義務教育による洗脳が溶けてしまった人たちです。
かく言う私もまさにこの人種です。何故週五日、一日八時間以上も時間(人生)という貴重なリソースを差し出さなければ生活できないのか、全く理解ができません。手段と目的が逆転して「働くために生きる」のが当たり前の世の中であることが信じられません。
FIREに目覚めるきっかけは人それぞれだと思いますが、社会人生活で苦しい思いをして、どうやればこの地獄の生活から抜け出すことが出来るのだろうと必死に調べて考えた末に行きついた一筋の光明がFIREだという人も多いでしょう。
FIRE戦略、それは当たり前のことを当たり前にできない「ろくでなし」の烙印を押された社会的弱者が、生まれた瞬間から圧倒的に不平等な資本主義社会というクソゲーを攻略するための一つの手段、即ち「弱者のゲーム」でもあるのです。
FIRE到達への経路
このように、社会的マイノリティ(社会的弱者)にとっての福音ともいえるFIREですが、具体的にどのようにすればたどり着けるのでしょうか?FIREを達成した状態とは、投資家として資産形成を行い、不労所得である投資収益を十分に膨らませた状態です。
FIREへの道のりを大別すると、以下三種類の経路に分けられます。
FIRE経路①:労働者→投資家
一番オーソドックスなパターンがこれです、労働者階級から一気に投資家階級に上りあがるという経路ですね。この手法のメリットは、誰でもこの道を歩むことでFIREを達成できるということです。
とはいえ、FIRE達成までの期間は年収に大きく依存しますし、早くても10年、通常は20年、遅ければ30年以上がかかります。しかし、パートナーが居る方であれば、以下の記事にも書いた通り「共働き」により達成期間を半減させることが可能となります。
FIRE経路②:起業家→投資家
自らお金を稼ぐ能力があり、かつ人生のリスク許容度が大きい人であれば、この道がベストでしょう。起業家であれば自分で稼いだ分が会社や株主に搾取されることが無く、給料は青天井となります。
センスがある人なら二、三年で億単位のお金を手に入れ、これを種銭として最速で投資家階級に上り詰めることができます。もしも自分の会社を売り渡す場合には、自社の株式を一部保有しておくだけでも永続的に不労所得が得られます。
問題は、起業という通常とは外れた道を選べる人は多くないということですね。私には無理でした。投資によりセルフベーシックインカムを築いた暁には、失敗してもダメージの無い範囲(無借金、無在庫、設備投資最小限)で起業にチャレンジしてみるのも面白そうですね!
FIRE経路③:労働者&個人事業主→投資家&個人事業主
多くの人におすすめできる手法がこちらになります。社会人として労働をしながら空き時間で個人事業を行い、そこで得られた種銭を投資に回していくという手法です。
この手法のメリットは、雇われ労働を続けながら起業家の真似事である個人事業を低リスクで営めるということです。これにより、収入が増えると同時に起業するほどのリスクを負う必要もありません。
さらに、十分な資産を構築した後にも個人事業をゆる~く続けていくことが可能です。個人事業がWeb事業のような定常的な収入を生む場合は、FIRE達成までに必要な資産規模を大幅に減らすことが出来ます。
例えば、月20万円あれば生活できるという人であれば、本ブログで度々推奨しているインデックス投資資産の年間取り崩し割合が3.5%となる「3.5%ルール」に則ると、資産規模は8500万円ほど必要です。(総取り崩し額に対して税率を20%と固定した保守的評価)
しかし、個人事業により月5万円の収入が定常的に見込めるのであれば、2000万円ほど資産規模を減少させても生活は成り立つことになります。2000万円を余分につみたてることと、月5万円の個人事業を作ること、果たしてどちらが簡単でしょうか?
資産形成は年単位で続くものですから、個人事業も年単位でじっくりと育てていくことが出来ます。しかも、Web事業等であればサーバ代とドメイン代(年間一万円程度)ぐらいしかかかりませんから、リスクもほぼ無いに等しいと言えます。
ただし、ブログやYouTubeなどの参入障壁が低いビジネスは、同時にレッドオーシャンでもあります。とはいえ、多くの人が一年以内にやめていくような市場ですので、そこそこの質を保ちながら続けてさえいればそれなりの成果は得られそうですが、この「継続」が本当に難しいことだと私は現在痛感しております。。
個人事業とアルバイトも含めた具体的なセミリタイア戦略についての詳細は以下の記事をお読みください。
まとめ
FIREとは、資本主義社会というクソゲーを攻略するために社会的弱者に許された一筋の光明であるという考えを記しました。
具体的な手法としては、社会人を行いながら副業(個人事業)も並行して行い、種銭を膨らませながら事業収入も拡大していければ理想ですね。
新型コロナウイルスにより世界経済が事実上停止しており、この状況がいつまで続くのかわからないという昨今ですが、このようなリスクがあるからこそ不労所得で生活が営めるFIRE戦略は至高であると思います。
踏ん張りどころですが、止まない雨はありませんので、乗り越えていきましょう!
以下、関連記事です。
FIREについての一般的事項を書籍から学びたい方は、以下の記事に記した書籍が網羅的かつオーソドックスな内容でありお勧めです。
FIREを達成するために真に重要な指標は収入に対する投資割合なのですが、これに一番効くファクターは収入ではなく支出です。つまり、節約の効果は二乗で効いてきます。「収入に対する投資割合」を指標としてFIRE達成までの期間を算出するクレバーな海外記事を以下にまとめました。
一部上場企業勤務者や公務員であれば、23歳から計画的に資産形成をすることにより45歳でFIREが可能です。これは、副業や共働きによって同等の収入レベルを満たせれば同様に成立します。ちなみに、読んでいただければわかりますがこの給与水準はさほど高くはありません。
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