8月末にFooden Engineeringにて、世界の飲食業売上ランキングの2020年版が公開されました。
昨年、当ブログではこのランキングの2019年版を基に飲食業界への投資について簡単に紹介しました。
本記事では、今年は飲食業界のランキングにどのような変動があったのか、2019年と比較して考え方を改めるべきなのか考えて行きます。
食品・飲料業界の世界TOP20
まずはランキングです。
下表はFooden Engineeringおよび各社のHP等を基に、著者が作成したものです。
公開されているランキングはTOP100なのですが、著者の根性がなかったため、TOP20となっています。
2020 Rank | 2019 Rank | 変動 | Company | 2020 食品売上[$m] | 2019 食品売上[$m] | 昨年比 | 本社 |
1 | 1 | △ 0 | Nestle | 76,802 | 80,195 | ▲ 4.42% | スイス |
2 | 2 | △ 0 | PepsiCo,Inc. | 67,161 | 64,661 | △ 3.72% | アメリカ |
3 | 3 | △ 0 | Anheuser-Busch InBev | 52,329 | 54,619 | ▲ 4.38% | ベルギー |
4 | 4 | △ 0 | JBS | 48,795 | 46,790 | △ 4.11% | ブラジル |
5 | 5 | △ 0 | Tyson Foods | 42,405 | 40,052 | △ 5.55% | アメリカ |
6 | 7 | △ 1 | Mars | 37,630 | 35,000 | △ 6.99% | アメリカ |
7 | 9 | △ 2 | The Coca-Cola Company | 37,266 | 31,856 | △ 14.52% | アメリカ |
8 | 6 | ▲ 2 | Archer Daniels Midland Company | 32,951 | 38,900 | ▲ 18.05% | アメリカ |
9 | 8 | ▲ 1 | Cargill | 31,700 | 32,500 | ▲ 2.52% | アメリカ |
10 | 14 | △ 4 | Danone | 28,322 | 20,830 | △ 26.45% | フランス |
11 | 17 | △ 6 | Heineken | 26,845 | 18,990 | △ 29.26% | オランダ |
12 | 11 | ▲ 1 | Mondelez International | 25,868 | 25,938 | ▲ 0.27% | アメリカ |
13 | 10 | ▲ 3 | Kraft Heinz Company | 26,259 | 26,259 | △ 0.00% | アメリカ |
14 | 12 | ▲ 2 | Smithfield Foods/WH Group | 23,346 | 21,283 | △ 8.84% | アメリカ |
15 | 19 | △ 4 | Unilever | 21,600 | 17,095 | △ 20.86% | オランダ/イギリス |
16 | 13 | ▲ 3 | Suntory | 21,460 | 20,855 | △ 2.82% | 日本 |
17 | 15 | ▲ 2 | Olam International | 21,137 | 19,365 | △ 8.38% | シンガポール |
18 | 22 | △ 4 | Lactalis | 20,720 | 15,635 | △ 24.54% | フランス |
19 | 18 | ▲ 1 | Asahi Group | 19,084 | 18,770 | △ 1.65% | 日本 |
20 | 16 | ▲ 4 | CHS Inc. | 18,900 | 19,200 | ▲ 1.59% | アメリカ |
盤石のTOP5!飲食業界は全体的に好調
TOP20でみると、全体的に好調です。
2019年と比較して、TOP5位はランキングに変動がありません。盤石ですね。
また、6位以降は若干の変動がありますが、そこまで大きく躍進したり、後退した企業もありませんね。
中でも、ネスレは減収しているものの、No.1の座を譲りません。
ただし、本データは概ね昨年12月に公表されたものであり、新型コロナ感染症の流行による影響が反映されていないことに留意が必要です。
短期的には高依存商品であったり、食品であったりと常に需要のある商品を取り扱っている業界であるため影響を受けにくかったものの(むしろ需要急増で2020年第二四半期は好調)、長期的には原材料の調達に苦慮しているようで、コロナの影響が今後どう出てくるかは未知数です。
投資するならやっぱり高依存性銘柄?
さて、TOP10の主力食品をみてみましょう。
2020 Rank | Company | 主力食品 |
1 | Nestle | コーヒー、アイス、粉ミルク |
2 | PepsiCo,Inc. | 飲料 |
3 | Anheuser-Busch InBev | ビール |
4 | JBS | 食肉、プロテイン |
5 | Tyson Foods | 食肉、プロテイン |
6 | Mars | チョコレート(Snickers、M&MS) |
7 | The Coca-Cola Company | 飲料 |
8 | Archer Daniels Midland Company | 穀物 |
9 | Cargill | 食肉、穀物、卵、水産養殖 |
10 | Danone | ヨーグルト、シリアル、ミネラルウォーター |
2019年と変わらず、TOP3はコーヒー(ネスレ)・砂糖飲料(ペプシコ)・アルコール(ABインベブ)と、各々高依存性銘柄の頂点です。
また、4位のJBS、5位のTyson Foodsはプロテインにも力を入れており、トレイニー視点ではある意味高依存銘柄とも考えられます。
このため、コロナの影響はまだ未知数ではありますが、影響がない企業は殆ど存在せず、本質的な魅力は変わらないこと、仮に暴落したとしてもいずれ戻ってくる可能性が極めて高いことから、2019年に掲載した以下の内容と考え方をかえる必要はないと思っています。
高依存性銘柄の強さは、以下の記事で紹介していますが、今回のランキングをみてもわかるように、安定した売上高にも直結しています。
食品・飲料業界への投資は、基本的には業績安定かつ高配当がメインとなります。
TOP3おいては、食品・飲料の中でも特に需要が強いため、より安定性が高く、加えて長期的には成長し続けており、投資先として非常に優れていることがわかります。
配当と安定性のバランスを求める場合、タバコ株より上記銘柄は規制の影響が少ないため、タバコよりこれらを優先するのが良さそうです。
※投資する場合はあくまで自己責任ですので、しっかり企業分析を行いましょう。
迷ったらS&P500インデックスでOK
先に述べたとおり、高依存性銘柄は魅力的ですが、投資の際に企業分析をするのが面倒だったり、個別株は・・・という方はS&P500インデックスで十分と考えます。
ランキングTOP10を再確認してみてください。6社が米国の企業です。
売上の観点では、TOP10のうち約54%が米国の企業によるものになります。
そしてこれらの企業は、非上場のCargill、Marsを除きS&P500銘柄に組み込まれています。
S&P500銘柄に組み込まれている企業だけでもTOP10の売り上げの約40%を占めます。
さらに、2位のペプシコは徐々にネスレと差を縮めてきていることがわかります。
いずれは1位になるかもしれません。
したがって、S&P500に投資しておけば、食品・飲料業界への投資メリットをある程度享受できると考えることができます。
まとめ
飲食業界は安定した高配当株の選択肢として大いに有効であり、個別株投資家がポートフォリオに組み込むのも納得できます。
一方で、インデックス投資家(当ブログではS&P500推し)であれば、無理にポリシーを変えることなくS&P500に投資し続ければ良いと考えます。S&P500には、食品・飲料業界の上澄みももれなく組み込まれています。
なお、私は基本的にS&P500インデックス投資で、趣味程度にSBIネオモバイル証券で個別株を数株買ってみたりする投資スタイルがしっくりきています。
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