不合理なことが大嫌いで、合理的なことが大好きな私は、インデックス投資を愛好しております。
本記事では、プロ中のプロたちによるアクティブファンドを蹴散らすインデックス投資の圧倒的なパフォーマンスの理由について説明します。
インデックス投資とは
インデックス投資とは、ある条件を満たす市場全体に分散投資することにより、市場平均のパフォーマンスを取りに行く手法です。
例えば、本ブログで度々紹介しているS&P500は、米国の大型株約500社に時価総額加重平均で評価した指標(インデックス)です。
従って、S&P500インデックス投資は、米国株式市場の大部分を網羅する範囲に投資することになります。
ところで、S&P500は米国株式市場の約85%の時価総額を占めますが、米国は世界の時価総額の約55%を占めております。
つまり、S&P500に投資することは、米国株式市場はおろか、世界の株式市場の約半分(およそ45%)に分散投資していることになります。
他にも、先進国や新興国、果ては全世界の株式市場に投資するものや、債券に広く投資するものから、株式と債券をミックスしたものなど、さまざまな商品があります。
有名な投資格言で「一つのカゴに卵を盛るな」というものがありますが、この格言に則って広くあまねく投資することでリスクを分散させることが、インデックス投資の狙いです。
つまり、それなりに低いリスクで市場平均のパフォーマンスを求める投資手法となります。
インデックスファンドのパフォーマンスが高い理由
それでは、なぜインデックスファンドがそれほどにまでパフォーマンスが高く、推奨されるものなのかについて説明していきます。
インデックス投資がアクティブファンドを圧倒する理由、それは極限までコストを切り落とした投資方法であるためです。
どういうことでしょうか?
経費率が安い
インデックスファンドは、上述したインデックスと呼ばれる経済指標に追随することを目指して運用されるファンドです。
従って、インデックスファンドを運用する会社のやることは、インデックス指数から計算により求めた各銘柄の割合に応じて売買を行うだけの単調な作業です。
ITが高度に発展した現代社会では、作成したプログラムを用いておそらく自動的に取引を行なっているでしょう。
従って、運用会社は銘柄を選定する必要もなければ頻繁に売買を行う必要もなく、人の手もほとんどかからないため、運用会社の経費は極限まで削減することができます。
一方、アクティブファンドは投資のプロ中のプロと豪語するファンドマネージャーらが儲かる(割安な)銘柄や投資手法を血眼になって探しております。
目標はただ一つ、市場平均を超える成績を残すことです。
しかし、その相手たちもプロ中のプロの機関投資家ですから、相手(市場)のミスを尽きつつ自分はミスをなるべく起こさないということが肝要となります。
そのためには膨大な情報を集めて処理する必要があり、他のファンドに抜きん出る為に大量のリソースを投下しなければなりません。
従って、アクティブファンドにかかる人件費等は大きくなる為、経費率はインデックスファンドに比べると遥かに増加します。
回転率が低い
インデックスファンドは先述の通り、銘柄の売買が最小限であるため銘柄の回転率(取引率)が低いです。
一方、アクティブファンドはインデックスファンドとは異なり、短期的なトレードを頻繁に行います。
これにより、トレード毎に発生する取引手数料などのアディショナルな費用がかさんでいくため、より一層コストが増加します。
その結果、たとえ純粋な利益はインデックスファンドに勝っていたとしても(それでも勝つことは少ないのですが)、投じたコストをそこから引くと、殆どのアクティブファンドはほぼ何の手もかからないインデックスファンドを超えるパフォーマンスを出すことができないのです。
一方、インデックスファンドは、機関投資家達がお金と頭を使って取引に取引を重ねた結果である効率的な市場に、限りなく低い経費で乗ることができるのです。
皮肉な話ですね。。
米国株での具体的な例
ここで、本ブログで度々紹介しているS&P500を念頭において、米国株式市場でのインデックスファンドとアクティブファンドの実際のパフォーマンスを見ていきましょう。
情報ソースは言わずと知れたインデックス投資の生みの親であるバンガード社の創設者、ジョン・ボーグル氏の書籍「インデックス投資は勝者のゲーム」です。
本書によると、過去25年間で平均的な株式のアクティブファンドの年間純リターン(コスト引く前)が7.8%であったのに対し、S&P500インデックスファンドの年間純リターンは9.0%だったようです。
また、2017年半ばにおいて、S&P500インデックスファンドの配当利回りは、平均的な株式のアクティブファンドの配当利回りの約2倍となりました。
さらに、米国の連邦税(コスト)については、アクティブ運用ファンドは年1.5%であったのに対し、S&P500インデックスファンドは0.45%となり、おおよそ1/3の連邦税となりました。
従って、平均的なアクティブ運用の株式ファンドの税引き後のリターンは年6.6%となったのに対し、インデックスファンドの税引き後のリターンは8.6%となりました。
気鋭の経済学者ピケティが示した、インデックスファンド(S&P500等)の有用性についての詳細については、以下の記事をご確認ください。
インデックスファンドは長期投資でこそ、その真価を発揮する
次に、もっとずっと長期間での株式インデックス投資のリターンを見ていきましょう。
出典:AAII Journal
上図は、本サイトでは度々登場する、米国での各資産クラスを配当再投資した場合における、過去約200年間にわたる実質リターンの推移を表しております。
実質リターンとはインフレを加味したものですので、インフレ率分はリターンから除かれております。
ここで、圧倒的な上昇推移を見せているのがStocks(株式)です。なんと、米国株式市場は短期的な増減を繰り返しながら、長期的には過去200年にわたって年利6.7%という驚愕のパフォーマンスを叩き出しております。
S&P500などといった米国株式のインデックスファンドを購入するということは、コストを最小限に抑えながら、この高いパフォーマンスを長期的に享受していこうという極めて合理的な手法となります。
なお、株価というものが時間(過去)に対して独立事象であれば、短期的にも長期的にもリスクとリターンは変わらないはずですが、実際はというと長期投資の方がリスクに対するリターンが格段に良くなります。
このことは経済学では平均への回帰として知られております。
以下の記事にて詳しく説明しておりますが、株価は上がりすぎたら下がり、下がりすぎたら上がるということを繰り返す特性があり(投資家心理によるものでしょう)、これにより単純なランダム試行よりも長期的には遥かに分散(リスク)が小さくなるのです。
現に、S&P500については、20年後に元本を割っていることはこれまでの歴史上殆どありません。
従って、インデックス投資とは長期間保有すればするほど勝てる確率が高まるような、まさに勝者のゲームなのです。
まとめ
インデックスファンドがアクティブファンドを圧倒する理由について説明しました。
アクティブファンドが複雑な構成にして足掻けば足掻くほど、インデックスファンドの優位性はより増強されます。
何故なら、投資は動けば動くほど損をするゲームだからです。
このことに気づければ、年200万円の「簡単」な積立投資で20年後には1億円の大台が見えてきます。
なお、「簡単」というのは投資手法が簡単であるだけで、長期的な景気後退時に機械的な買い増しを行い続けるのは簡単ではないです。リーマンショックレベルが来た場合は、むしろ「困難」なこととなるでしょう。
だからこそ、そういう時に心が折れて損切りしたり積立を辞めたりすることがないようにするためにも、インデックス投資の優位性や、長期積立投資のメリットについて、腹に落ちるまで調べて考え抜くことが肝心だと思います。
本ブログがそのための一助になれれば幸いです。
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