分譲住宅と注文住宅の選択方法と耐震等級等の住宅性能について(理系の錬金術師の場合)

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戸建てを購入するにあたり、分譲住宅と注文住宅、どちらにするか迷うところではないでしょうか?

本記事では、私は土地を購入し注文住宅を建てることを選択しましたので、この理由を紹介します。
先に申し上げておきますと、結論は「性能や場所のこだわりが一致すればどちらでも良い」であり、たまたま良い土地が見つかったので、注文住宅を選択した、という話になります。

注文住宅は土地選びもセットで、こちらも極めて重要です。土地については結構な熱量で書いた記事を近日中に公開予定です!

分譲/注文のメリット・デメリット

分譲住宅

分譲住宅(建売り)とは、基本的に住宅が完成または着工している状態で、土地と建物がセットで販売されているものです。
分譲住宅を探していると、パワービルダーと呼ばれる飯田グループやオープンハウス等がよく出てきますが、ヘーベルハウスや積水ハウス等のハイブランドハウスメーカーの分譲住宅も存在します。
中には、建築中や建築予定段階で販売されているものもあります。

「分譲住宅だから」坪単価が安いとか、そういうことは無く、あくまで建築しているハウスメーカー依存であり、坪単価が安いとすれば、間取りが固定されるため(規格住宅と同じ)か住宅性能を削っているためと言えるでしょう。

メリット

まず、分譲住宅のメリットです。

  • 多くの場合、契約後短期間で引越せる
  • 完成品の場合は実物をみてから購入できる
  • 契約手続きが楽

1つ目のメリットは、契約が終われば、すぐに引越して住み始められることです。これは、単純に早く綺麗な家に引越したいという方は勿論、各種補助制度の滑り込みを狙う場合も重要なメリットです。

例えば、住宅ローン減税です。現状、2025年12月までとされているため、注文住宅ではそろそろ間に合わなくなってくる方もいるでしょう。これに間に合うかどうかは、13年間で300万円以上の割引効果が得られるかということになりますので、「引越しが完了できる時期」は重要です。仮に制度が再度延長されるとしても、減税率は下がる可能性がありますし、これから家を購入する方は、可能な限り2025年中には引越したいですね。

2つ目のメリットは、未完成物件の場合は該当しませんが、完成品であれば実物をみてから購入できることです。見学すれば、実際に住んだ場合のイメージがしやすく、「こんなはずじゃなかった」が起こりにくいと思います。
また、契約前にホームインスペクションを依頼し、住宅に致命的な欠陥がないか確認することもできます。

3つ目のメリットは、契約手続きが楽ということです。分譲住宅は土地とセットになっていますので、契約が1本でよく、住宅ローンの手続きもスムーズです。注文住宅の場合、土地と建物でそれぞれ契約が必要ですので、住宅ローンを分割融資してもらったり、金利が割高なつなぎ融資の手続きが必要になります。

なお、私は選択肢に入れていなかったので書きませんが、中古住宅の場合、本メリットに「安い」が追加されると思います。

デメリット

では、分譲住宅のデメリットはなんでしょうか。

  • 隣人は完全にガチャ
  • 隣が近い
  • 住宅性能を削られている場合が多い
  • 間取りを選べない

まず、隣人ガチャです。これは注文住宅でもいえることですが、注文住宅であれば土地購入前にある程度調査することができます。分譲住宅の場合、小規模であれば注文住宅と同じ話ですが、大規模な分譲住宅であれば、どんな人が住むかは今後ランダムに決まることであり、完全なるガチャになります。

また、隣家との距離が近いことがしばしばあります。元々一軒家だったところを取り壊し、2軒建てているようなパターンにありがちで、多分、法律ギリギリの1mしか開いていないものと思います。あまりにも隣が近いと気になる人も多いのではないでしょうか。隣人ガチャ失敗と合わせ技になると最悪ですね。

次に、住宅性能です。これは、パワービルダーだったり、割安価格で売っているメーカーの場合該当することがあります。土地条件が良いのに、安いなと思う分譲があると、大体これが該当します。建物総額(外構費や諸経費込み)を1000万~1500万円程度で抑えるために、住宅性能が削られます。例えば、後述する耐震等級が1級や2級だったり、断熱がイマイチだったり。勿論、パワービルダーだから性能が削られているというわけではなく、その中でも明らかに安く、チラシで性能を謳わず、場所や利便性のみを強調している場合は大体これに該当するイメージです。

そして、間取りです。言うまでもありませんが、完成品はもちろん、着工前であっても殆ど計画が固まっており、間取りを選ぶことができません。希望に一致すれば良いですが、場所だけ良かった場合等、我慢することになります。せっかく家を買うなら、なるべく妥協はしたくないですよね。ただし、多少壁を増設したり、扉が無いところに扉をつける等、そういう対応はしてくれるところもあるようです。私が以前問い合わせた分譲住宅では、この程度は対応可能なようでした。

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注文住宅

自分で土地を買い、好みのハウスメーカーで家を建てる場合、どんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。概ね分譲住宅のメリット・デメリットと逆になります。

メリット

注文住宅のメリットは以下のようなところと思います。

  • 好きな土地を選べる
  • 間取りが自由
  • 住宅性能に拘れる
  • 好きなメーカーを選べる

1つ目のメリットは好きな土地を選べることです。土地だろうと分譲住宅だろうと、売りに出ていなければ買えませんが、分譲住宅で間取りや性能が許容でき、さらに好みの土地というとだいぶハードルが上がります。私が探した中で一番多かったのは、「良い土地で間取りも悪くないけど、性能(特に耐震)が削られている」というパターンでした。

2つ目は間取りを自由に選べるところですね。私はそこまで間取りに拘りがないので、そこまでのメリットには感じませんが、こだわる人にとっては必須レベルになりそうですね。オプションで防音室等を付けたい場合も注文住宅でないと無理でしょう。

3つ目と4つ目は同じような話ですが、自分好みの性能を持つ住宅を選べるところです。人によってこだわるところは違うと思いますが、私は大震災に見舞われても倒壊せず、さらにその後も住み続けられるというのが最重要だと考えています。この場合、最低でも耐震等級3が必要です。このほか、長期優良住宅、ZEH仕様を満足したい、断熱性能を極めたい、火事に強い、見た目重視等々、様々な好みがあると思いますが、注文住宅なら(お金次第なところもありますが)自由ですね。

デメリット

注文住宅のデメリットも勿論あります。

  • 完成、引越しまで時間がかかる
  • 完成するまで実物がわからない
  • 契約手続きが面倒

注文住宅は、自由度が高いため、メーカーとのやり取りも当然多くなり、まず設計を確定させるまでに時間がかかります。その後着工に入るため、契約から早くても10ヵ月~遅いと2年程度かかるようです。今なら適用できる補助制度を適用できなくなったり、子供の入学等を考慮した入居時期に間に合わなくなるといった可能性があります。

私が調べた限りでは、注文住宅が完成した後にこの機能はいらなかった、結果して動線が悪い間取りになっていた等、「こだわり」部分が仇となった例が結構あるようです。完成しないと実物がわからないのはデメリットかもしれません。3Dイメージが進化しつつありますが、実体験とは違ってくるのでしょう。ストリートビューでみた場所に実際行ってみると、色々な発見があるのと同じような感じですね。

私は注文住宅を選択しましたが、契約手続きが分譲住宅より面倒です。土地とハウスメーカーを吟味しつつ、土地が決まればメーカーの見積もりと相談しつつ、住宅ローンを検討します。住宅ローンも銀行によっては土地先行融資が受けられるため、1本で済みますが、そうでない銀行を選ぶ場合は割高なつなぎ融資(建物が完成するまでの間にかかる土地や着工金等を借りる)を受ける必要があります。

また、土地先行融資可能であっても、「土地のあとの融資は建物完成時です」というパターンがあり、その場合は着工金や中間金でつなぎ融資を使う必要が出てくるため、分割タイミングや回数等のルールを予め問い合わせておきましょう。

加えて、ネットで得られる情報と異なり、ハウスメーカーとの提携であれば「着工金が必要になった時点で建物部分全ての決済ができますよ」というパターンもあります。

住宅ローンの選択については、別の記事で紹介する予定ですが、ここで示した内容の他、諸経費の上限額がある等、金利だけでは比較できないところが多いことに注意が必要です。

住宅性能の条件

ここからは、私が必須条件にした住宅性能を紹介します。間取りの条件を書いても仕方ないので、間取りについては省略します。

長期優良住宅

1つ目は長期優良住宅です。長期優良住宅の条件やメリットは、住宅性能評価・表示協会の資料にわかりやすくまとめられています。一定以上の性能が担保される他、新築戸建ての場合、ローン減税の上限が上がったり、固定資産税の優遇措置を受けられます。いずれ物件を売却するとした場合も有利になります。
したがい、ひとまず長期優良住宅の住居であれば、あとは耐震や断熱等、こだわりたいところを強化すれば、そこそこのレベルになるんじゃないかと思います。

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耐震等級3以上

前述しましたが、私は建物の耐震性能が特に重要だと考えています。日本は地震大国ですし、被災したことがない人でも、多くの人はそう思っているのではないでしょうか。このためか、耐震はそこまで強化していないメーカーでも、「何か凄そう」な表示をしていることが多いです。
これから少し説明しますが、耐震等級3相当(必要な検査は受けていないが、メーカーが設計上そうなっていると言っているだけ)だったり、実験で●●galの地震動に何回耐えた(中身スカスカパターン)、といった話です。こういった話に惑わされず、本当に強いであろう設計をしているメーカーを選定する必要があります。

耐震等級とは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に定められている建物の耐震性を示す指標です。耐震等級は1~3の以下3段階に分けられます。もっと細かい話を知りたい方は、ググってみてください。

  • 耐震等級1は、震度7であっても倒壊しないレべルで、新耐震基準の最低ライン。関東大震災基準で地震加速度400[gal]に耐えられる。
  • 耐震等級2は、耐震等級1の1.25倍の地震力に耐えられるレベルで、学校等、災害時の避難所に指定される建物の最低ライン。地震加速度500[gal]に耐えられる。
  • 耐震等級3は、耐震等級1の1.5倍の地震力に耐えられるレベルであり、消防署や警察署等の防災拠点となる建物に求められる最高等級。地震加速度600[gal]に耐えられる。

ここで、耐震等級1は、2000年以降に建築された建物ならクリアしているはずですが、注意が必要なのは、「震度7クラスに1発は耐える」基準であるということです。能登半島地震では、新耐震基準の家が多く倒壊したそうです。この理由は、これまで中越沖地震や東日本大震災で耐えたものの、そのダメージが蓄積し、能登半島沖地震でついに耐えきれなくなったことが原因の1つと言われています。

したがって、耐震等級1の場合、ある程度の地震を受けた建物はその後安心して住めるとは言い難いということになります。

では、耐震等級2や3なら安心なのかというと、必ずしもそうでは無いと考えられます。
理由として、耐震等級は地震加速度基準であり、実際の建物へのダメージは周期等も影響すること、最大地震加速度をみると、阪神淡路大震災で800[gal]以上、東日本大震災で2900[gal]以上、能登半島地震で2800[gal]以上であることが挙げられます。

最大地震加速度については、耐震等級3の基準を軽く超えてますね。耐震等級3も、国がそこまでしか定めていないというだけですので、同じ等級でも、メーカーや商品によって強さが全然違いますので、耐震等級3の中でこれを上回る耐力がある家もあれば、そうでない家もあります。
幽遊白書を知っている人なら、S級妖怪の定義と全く同じと言えばわかりやすいかもしれません・・・。ただし、あくまで最大地震加速度ですし、地震による倒壊は様々な要因が重なって起こるものですから、基準を超えている地震が存在するからアウト、というわけではありません。

地震加速度以外の要素については、周期の影響がわかりやすく、長周期(東日本大震災等)より、短周期(阪神淡路大震災等)の方が建物へのダメージが大きいです。何となく、同じくらいの力で揺れてみてください。体を1mくらいの幅で揺らすより、50㎝くらいの幅で揺らした方が体にかかる負荷が大きい気がしませんか?

では、何を基準に耐震性能が良い家を選べば良いのでしょうか。
これは、各メーカーが公表している耐震性能や耐震実験結果を見ていく他ありません。

耐震性能はどの程度の地震に耐えられますというのが書いてあれば、わかりやすいですね。
また、そもそもの話で、工法としてざっくり鉄筋コンクリート造>重量鉄骨>軽量鉄骨≧木造ですし、木造の中でも2×6工法>2×4工法>在来(軸組み)工法と、工法によってスタートラインが変わってきます。ここに、制振ダンパだったり、免振構造だったり、様々な工夫が凝らされるわけです。

耐震実験は、割と多くのメーカーがやっていますが、単純に結果を横並びにしても強さは比較できません。例えば、スカスカの構造体だったり、完成した家であっても家具が全く無いものと、重い家具を設置した家(特に2階)では、揺れ方やかかる力は全然違います。ゆえに、実験で●ガルに何回耐えた!という情報だけを鵜呑みにすると、本当に強い家を見誤る可能性があります。

以上のように、耐震等級3の中でも大きな差があることから、種々の条件を総合的にみていく必要があります。ただ、家を買う人で、私は耐震設計の専門家です、許容応力度計算書をしっかりみて考えます、という人はそうそういないでしょうから、ある程度カタログスペックを信じるしかありませんが、上述のようなことを頭に置いて検討するだけでも真実に少し近づけると思います。

そして、そもそも強い地盤に家が建っているということも重要ですので、建物性能だけでなく、土地選びもきちんとすることが重要です。

耐震性能はどこまでこだわるか、本当に難しいと思いますが、大切な家族の命に関わると思うと、強ければ強いに越したことはありません。あとは何処で妥協するか、予算と相談ですね。

書き忘れましたが、耐震等級3であれば、地震保険が半額になるメリットもあります。

選択結果

さて、ここまで色々と分譲住宅や注文住宅について、私見を述べました、最終的に私が何を選択したか紹介します。

冒頭でも述べている通り、土地を購入し、注文住宅を建てることを選択しました。
理由は単純で、上述の性能条件と場所の希望条件をクリアしていれば良いと考えており、分譲と土地を並行して探した結果、先に良い土地が見つかったためです。

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ただ、長々と耐震について書いたとおり、耐震設計にこだわるなら、分譲はなかなか難しいところがあります。それこそ、ヘーベルハウスや積水ハウス等の分譲住宅なら良いでしょうけど、かなり高くつきますし、そんなに数がなく、希望の土地に建っていることはそうそうないでしょう。

そういうわけで、私がこの結果に行き着くのは必然だったのかもしれません。

次回は、土地選びについて語ろうと思います。

【理系の錬金術式 住宅購入編】

  1. 理系の錬金術的持ち家取得計画
  2. 分譲住宅と注文住宅の選択方法と耐震等級等の住宅性能について(理系の錬金術師の場合)
  3. 住宅ローン計画の考え方と借入先選定方法(理系の錬金術師の場合)
  4. 土地探しで考えたことと契約について【理系の錬金術式 土地調査手法】
★理系の錬金術師おすすめの証券口座
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